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朝起きたら女の子になっていた件〜性別を超えた絆の物語〜  作者: 柴咲心桜
第1部 変化の兆し編

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冬の映画と、寄り添う手

冬の朝。私は自宅から少し離れた公園に来ていた。


今日はみうと遊ぶ約束をしている。

みうと会うのは久しぶりで、どこか胸がそわそわしていた。


「かな! 久しぶり!」


小さく手を振りながら、元気いっぱいに駆け寄ってくるみう。変わらない笑顔に、私は自然と顔を綻ばせた。


「久しぶり、みう!」


「元気にしてた?」


「まぁね。……それで、今日は何する?」


「映画とか、どうかな?」


「映画いいね! みうは何か観たいのある?」


「私、あんまり映画館行かないから、どんなのがやってるか分からなくて……」


「そっか。最近だとね、『遺書、公開』って映画が話題になってるよ。漫画もあるやつ」


「それ、聞いたことある! 観てみたいな」


「じゃあ、今日は映画館に決まりだね!」


みうと私は、駅前のショッピングモール内にある映画館へ向かった。


上映時間は約90分。途中、少し重たいテーマのシーンもあり、静かな緊張感が場内を包む。


――ふと気づくと、隣にいるみうが私の手を握っていた。


強くはない。でも、離したくないという意思が、指先から伝わってくるようだった。


「……みう、ちょっと怖かった?」


映画が終わり、明るくなった館内で私はそっと聞いた。


「そ、そんなことないよ!」


否定はしていたけれど、みうの頬はほんのり赤い。

それでも、無理していないか心配だった私は少しだけ言葉を継いだ。


「無理してたなら、ごめんね。誘ったの私だし」


「違うよ。観たいって言い出したのは私だもん。かなは気にしないで」


そう言ってみうは小さく笑う。そのあと、まるで息を整えるように一呼吸置いて――。


「やっぱり映画館って、いいね。かなと来れて、嬉しいよ」


「うん、私もだよ。久しぶりに劇場で観たから、楽しかった」


この場所、この時間。

一緒にいるだけで、どこか特別に感じられるのは、みうが隣にいるからなのかもしれない。


「もうすぐ11時だけど、これからどうする?」


「そういえば、下の階に服売り場あったよね?」


「いいね! 服見ようよ!」


ショッピングモールの中を巡って、ウィンドウショッピングが始まった。

気づけば1時間以上が経過し、気づけば昼時をとうに過ぎていた。


「……お昼、どうしようか?」


「ごめんね、かな。私が服選ぶのに時間かけすぎたから……」


「え、なに言ってるの? 私だって選んでたじゃん。みうのせいじゃないよ」


私が笑ってそう言うと、みうもようやく安心したように微笑んでくれた。


「みう、ホントに気にしないで。楽しい時間だったし」


「……ありがとう」


ようやく混雑も落ち着いた頃、私たちはイタリアンレストランに入った。注文したのは、2人ともカルボナーラ。


「美味しいね」


「うん、ここのパスタ、当たりだね!」


昼食を終えたあとも、私たちはモール内を散策したり、小物を見たり、ベンチで少し話したり。

ただ一緒にいるだけで、時間がゆっくりと流れていくように思えた。


「カナ、今日はありがとう。楽しかったよ」


「私も楽しかった。また、遊びに行こうね」


帰りはバス。みうは最寄りの駅で降り、私はひとつ先の駅まで揺られていく。


バスが動き出したとき、ポケットの中のスマホが震えた。


《今日はありがとう! また遊ぼうね》


みうからのメッセージ。


私は迷わず返信した。


《もちろん。また映画も行こうね》


今日はたくさん歩いたし、いっぱい話したし、たくさん笑った。

久しぶりに、心が軽くなるような一日だった。


「ただいま!」


玄関を開けると、ひんやりとした空気が出迎えてくれる。


明日は大晦日。今年最後の一日。

アニメを観たり、ゲームしたり、のんびり過ごす予定だ。


今日のみうとの時間を思い返しながら、私は布団にくるまって、静かにまぶたを閉じた。

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