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朝起きたら女の子になっていた件〜性別を超えた絆の物語〜  作者: 柴咲心桜
第1部 変化の兆し編

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29/70

パーティーと、ちょっとだけ恋の予感?

四条家の広大な庭園に設けられた特設ステージの前、シャンデリアのような灯りが夜空に浮かぶ。


「皆さん! 本日はお忙しい中、パーティーにご参加いただき、誠にありがとうございます。当主様よりご挨拶がございます!」


司会役の声が響くと、会場にいた大勢の招待客たちが一斉に視線を向ける。その中央に立つのは、この豪邸の主――四条家の当主だった。


「皆のもの、来てくれてありがとう! 今日はうまい料理をたくさん用意しておる。遠慮せず、思いっきり楽しんでいってくれ!」


その一言が合図だったかのように、広がる歓声と拍手。場が一気に華やいでいく。


「すごい……美味しそうなものがいっぱい……!」


私は目を輝かせながら、長テーブルに並べられた料理の数々に目を奪われていた。オマール海老のグラタンに、金箔が乗ったケーキ、見たことのないオードブル……どれもこれも、まるで高級ホテルのビュッフェのよう。


「かな! 落ち着こ?」


「ご、ごめん……ちょっと、はしゃぎすぎたかも……」


慌てて背筋を伸ばす私に、みうが笑いながら肩を軽く叩いた。


「パーティーなんだから、大人しくしなさいよ」


そう声をかけてきたのは――天だった。


「天!」


呆れたような顔をしているが、どこか楽しんでるのが分かる。私は気にせず笑って返した。


「だってさ、美味しそうで我慢できなかったんだもん!」


「ふふっ……ほんと、子どもみたいね」


天が軽く肩をすくめる。


「でも、もう一年経つのね」


「まだ経ってないけどね?」


「そう?」


「今、12月になったばっかりだよ。あと少しで冬休み」


「そっかそっか! 進級できるといいわね」


「なに、それ。心配してくれてるの?」


軽口のつもりで言ったけど、天は真顔で首を傾げた。


「……まさか、ギリギリなの?」


「いや、そういうわけじゃないけど!」


「私は一緒のクラスでいれれば、それでいいわ」


「……天」


名前を呼んだあと、私はふと口をつぐむ。そして――顔を覗き込んで聞いた。


「ねえ、私のこと……好きなの?」


「――っ!」


天の目が、まんまるになった。


口を開けたままフリーズしていて、完全に思考が止まってる。


……あれ、変なこと言った?


「誰が……誰を……好き、ですって……?」


「うん。天が私のこと、好きなんじゃないかって」


「なっ……なに言ってるのよ!? ば、ばかじゃないの!?」


突然取り乱したように声を上げた天は、顔を真っ赤にしながら身をよじっていた。


そして、最悪なタイミングで――。


「どうした? 天?」


四条家の夫婦、つまり天のご両親が、音もなく現れた。


「パパ、ママっ!? かなが変なこと言うの! 私が、かなのこと好きなんじゃないかって!」


「へえ、天とカナ? いいじゃないか。僕はお似合いだと思うなぁ」


「ママも賛成よ~。カナちゃんなら、安心して天を任せられるわ!」


「ちょっと!? 同性同士よ!? そんなの認められてないってば!」


「まあまあ、天。パーティーの最中に騒ぐ話でもないし、また今度ね?」


「そ、そうね……」


天は顔を真っ赤にしながら背を向けて逃げていった。みうと私は見送りながら、思わず笑ってしまう。


「……なんでみんな笑ってるのよ……」天の遠くから聞こえる小声に、ますます笑いがこみあげてきた。


私の一言が、こんなに騒ぎになるなんて――。


でも、なんだかちょっとだけ、嬉しかった。

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