再会と、そしてパーティー
「かな!パーティーに誘ってくれてありがとう!」
四条家の広い中庭に設えられたパーティー会場。夜風に揺れるランタンの光が、シャンパングラスを照らして煌めいている。
「私が、みうと一緒に来たかったから誘ったんだよ!」
私は、みうと姉のかなこと三人で、こうして四条家のパーティーに参加している。
「そう言ってもらえて嬉しいな!」
みうが笑顔を浮かべ、パーティー会場を見回す。ドレス姿の大人たちがシャンパンを片手に談笑し、クラシックが控えめに流れている。まるで、映画の中にいるような非日常。
でも、この華やかなパーティーが始まるきっかけは――二日前の、ささやかな朝の会話だった。
***
「姉さん、おはよう」
「おはよう! かな」
キッチンに立つ姉の姿を見るのは、何日ぶりだろう。あれからずっと、夢なんじゃないかって思うくらい信じられない時間だった。
「姉さん、よく眠れた?」
「えぇ、よく眠れたわよ!」
「よかった!」
「……なに? 心配してくれたの?」
「心配なんてしてないよ!」
「もう、かなは素直じゃないんだから」
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」
玄関を出て、私は自分の胸に問いかける。
――私は、今、ちゃんと前を向いているかな。
***
「おはよう。かな」
教室のドアに手をかけた瞬間、後ろから呼び止められた。振り返ると、そこには無表情――だけどどこか機嫌よさそうな、四宮天の姿があった。
「天? おはよう。……なにか用?」
「用がなきゃ話しかけちゃいけないの?」
「そういうわけじゃないけど……」
「ふふ、まぁいいわ。今週の土曜日。二日後ね。四条家でパーティーが開かれるの。あなたも来なさい」
「えっ、パーティー?」
天はそう言って、招待状を私に差し出した。金の縁取りがある立派な封筒で、中にはしっかりとした招待状が入っていた。
「あと二人くらいなら、友達なり家族なり連れてきてもいいそうよ」
「……天も行くの?」
「当たり前でしょ」
「……良かった。もし来ないなら一緒に行こうかと思ってた」
「その気持ちだけ、もらっておくわ。ありがとう」
「気にしないで」
「じゃあ、パーティー当日に会いましょう」
「うん!」
別れたあと、私はすぐにスマホを取り出してみうに連絡を取った。
――今度の土曜日、パーティーあるんだけど一緒に行かない?
そして、ついでに放課後屋上で会いたいとメッセージも送った。返事が来たのは、昼休みが終わる直前だった。
《わかった》
その一言が、やけにうれしかった。
***
ホームルームが終わると同時に、私は教室を飛び出した。屋上への階段を駆け上がり、ドアを開けると、すでにみうが立っていた。
「待たせてごめんね!」
「私も今来たところ。それで、話ってなに?」
「パーティーがあるの。一緒に行かない?」
「……今週の土曜日に、四条家で?」
「うん。天から招待されたんだけど、二人までなら一緒に行っていいって言われて……だめかな?」
「パーティーに参加するのはいいけど、ひとつだけ条件があるわ」
「条件?」
「パーティーが終わったら、私の家に泊まること」
「……そんなことでいいの?」
「そんなことって、かなはまだ私の家に泊まったことないでしょ?」
「まあ、確かに……」
「それで、どうするの?」
「もちろん、遠慮なく泊まらせてもらうよ!」
「やった!」
みうの顔が一気に明るくなった。私までつられて笑顔になる。
***
「姉さん、ちょっといい?」
「なに?」
「今週の土曜日なんだけど……四条家でパーティーがあるんだよね」
「そうなの?」
「うん。……よかったら、姉さんもどう? その日は私、みうの家に泊まるから、帰りは一人になっちゃうけど……」
「そんなこと気にしなくていいわよ。誘ってくれてありがとう。もちろん、参加するわ」
「今から楽しみだね」
「そうね」
そうして、今日――。
私は大切な人たちと並んで、この光の宴にいる。
みうが笑って、姉が微笑む。天は少し離れた場所でシャンパングラスを傾けている。その横顔は、いつもよりほんの少し、やさしそうだった。
きっと、今のこの時間を――私はずっと、忘れない。
2024年も今日で終わりですね。あっという間でした。来年も投稿頑張るので他の作品も読んでもらえると嬉しいです。それではまた年明けにお会いしましょう。




