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朝起きたら女の子になっていた件〜性別を超えた絆の物語〜  作者: 柴咲心桜
第1部 変化の兆し編

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24/70

新しい居場所へ

「叶、明日から私の家で暮らしていいわよ」


放課後の帰り道。歩きながら放った天の言葉に、私は一瞬言葉を失った。

けれど、すぐにこみ上げてくるものがあった。安心、嬉しさ、そして……少しの寂しさ。


「ほんと? 本当に……ありがとう、天!」


私は思わず笑顔になって、天の横顔を見つめた。

天は少し照れくさそうに顔をそらしながら言った。


「昨日、あなたが帰ったあとに、ちゃんと両親に話したの。

姉が行方不明なこと、弦水さんって人に四宮を頼れって言われたこともね」


「……ありがとう。迷惑かけちゃってごめんね」


「いいのよ。友達でしょ、私たち」


その言葉が胸にしみて、私は静かにうなずいた。


「今日は荷物の片付けでもしておきなさい」


「うん、わかった!」


***


帰宅してすぐ、私は部屋の中を見渡した。

住み慣れた家――けれど、今はどこか空虚に感じる。

姉がいなくなっただけで、家の中がこんなにも静かになるなんて思ってもみなかった。


スーツケースを開き、明日から必要になりそうなものを詰めていく。

下着や制服、タブレット、本、ちょっとした化粧品類。

なるべく生活に必要なものだけを選びながらも、自然と手が止まる。


「……この家とも、しばらくお別れね」


そう呟いて、私はリビングの窓から夕焼けに染まる空を見上げた。

次にこの家に帰ってこられるのは、いつになるのだろう。


「姉さん……生きてて欲しい。どこかで元気にしていて欲しい」

叶わないかもしれない。でも、願わずにはいられなかった。


***


玄関のチャイムが鳴った。

外には、黒いスーツを着た運転手の男性が立っていた。四宮家からの迎えだ。


「お待たせしました」


私が小さく頭を下げると、運転手は穏やかな声で言った。


「今日はご自宅で過ごされてもよろしいのですよ?」


「いえ。あなたを一日でも待たせるのは申し訳ないですし、何より……私自身が、早く出発したくて」


そう答えると、運転手はどこか納得したように微笑んでうなずいた。


「左様でございますか。では、出発いたします」


「すみません。お願いします」


私は軽く会釈して、スーツケースを引きずりながら車に乗り込む。

こうして私は、“星宮の家”を後にした。


後部座席の窓から、家が小さくなっていく。

その姿を、私はただ静かに見つめていた。


新しい生活が始まる。

少し不安。でも、私は前を向いていた。

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