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朝起きたら女の子になっていた件〜性別を超えた絆の物語〜  作者: 柴咲心桜
第1部 変化の兆し編

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12/70

桜の向こう、また会える日まで

「おはよう、叶」


まだ春の匂いが残る朝。カーテン越しに差し込む陽射しが、叶の頬をやわらかく照らしていた。


季節は巡り、卒業の時期がやってきた。中学校での三年間が、今日で終わる。


けれど――。


「……やっぱり、無理だったか」


両親は、今日の卒業式に来られない。急な仕事が入ったという連絡を受けたのは、昨晩のことだった。


電話の向こうで母が何度も「ごめんね」と繰り返していたのを、叶は笑って受け入れた。けれど電話を切ったあと、部屋の布団の中で小さく涙をこぼしていたのは、誰にも言っていない。


「叶、早く準備しなさい!」


階下から聞こえる姉の声。気を取り直して、大きな返事を返した。


「はーい!」


下へ降りると、姉が制服姿の叶を見て、にっこりと微笑んだ。


「卒業、おめでとう」


「ありがとう」


「来年は、父さんと母さんと会いたいわね」


「……うん、楽しみに、頑張るよ」


玄関で靴を履きながら、ふと後ろを振り返った。


「じゃあ、行ってきます!」


姉が笑って手を振る。


扉の向こう、春の空気に包まれて、叶は歩き出した。


「この道を通るのも、最後なんだよな……」


毎日歩いてきた通学路。いつもの電信柱、あの角の自動販売機、校門の前の桜の木。すべてが見慣れているはずなのに、今日はどこか違って見える。


懐かしさと寂しさが胸にあふれ、それを吹き飛ばすように深く息を吸い込んだ。


(よし、4月から頑張ろう)


校舎に着くと、教室には仲間たちが集まっていた。


「おはよー、叶!」


「おっ、来た来た!」


「卒業式、泣くなよー?」


笑い声が響く教室。ここで笑って、泣いて、ぶつかって、仲直りして……たくさんの時間を共有してきた。けれど、このクラス全員が揃うのは、きっと今日が最後だ。


教室に担任の先生が入ってきて、大きな声で告げる。


「お前ら! 席につけ!」


自然と背筋が伸びる。これが、最後のホームルーム。


卒業式の説明がされ、時間が過ぎていく。


そして――。


「卒業証書、授与」


名前を呼ばれ、壇上に立つ。見慣れた体育館の景色が、今日は特別な色をしていた。


一人ひとりに手渡される証書。拍手。送辞と答辞。涙。笑顔。鳴り止まない思い出たち。


式が終わると、先生が言った。


「明日から春休みだ!」


「イエーイ!」


「羽目外さないようにな!」


「はーい!」


笑いと歓声に包まれて、あたたかい空気が流れていく。


こうして――。


私の中学校生活は、幕を下ろした。


明日から、春休み。


そして、また新しい道が、私を待っている。

中学生編終わりました!読んでくれた皆様ありがとうございますございます。春休みの話を書いてから高校生編に進むことになります。

これからもこの作品をどうぞよろしくお願い致します。

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