4 どうでもいい話
「あの時、私は話もしないで敦君と別れたんだけど……。理由は浮気されたと思ったからなの。」
………。
「今私が付き合ってて、もうすぐ結婚する予定なんだけど、その相手の時任信二が原因だったの。」
………。
「信二が敦君が浮気してるって写真を見せてきて。顔はハッキリ写ってなかったんだけど、髪型とか、服装とか、背格好も敦君に見えたの。」
………。
「それで、私それを信じちゃって。当時慰めてくれた信二と付き合った。1週間前まで知らなかった。」
………。
「1週間前に信二が友達と結婚前祝いって言って、友達と飲んでた時、高校時代、それっぽい写真を用意して私に見せたって言ってるのを聞いたの。」
………。
「私、ずっと誤解してた!ごめんなさい!」
深々と頭を下げる高垣。
「別にそんなの卒業前にわかってたことだし、今更頭下げられてもな。」
「…えっ?わかってたの?…どうして教えてくれなかったの?」
「当時のお前に教えたところで多分信じなかっただろ?そもそも俺とは絶縁して、無視してただろ?」
「………。それは、ごめんなさい。そうね、多分信じなかった…かな。」
「もう別に怒っていないし、どうでもいい事だ。今まで通り俺に関わってこなけりゃそれでいいよ。」
「…私は、このまま信二と結婚していいのか悩んでるの。まゆさんがいるから彼女としては無理かもだけど、幼馴染として関わるのもダメ?」
「全然意味が分からない。幼馴染として関わるって何だ?あれから一度も連絡もなかったのに。
10年以上一緒に居て信じることも出来ない関係に何の意味がある?」
「あっ…、それは…あの時はパニックになってて…。」
「冷静になった時にでも俺に確認を取れば、その写真が偽物だってわかったはずだ。そんなモンなんだよ、俺とお前の関係は。」
「………。で、でも私どうすれば…。」
「あの!私からもいいですか?」
まゆ、何を言うつもりだ?
「…はい、どうぞ。」
「今の彼氏さんとの間に、信頼関係はありますか?」
「…はい、ちゃんと付き合ってきたつもりです。でも、信二は嘘をついてた。」
「そうですね、それで2人で話し合いましたか?」
「………いえ、まずは敦君に謝ろうと…。」
「ちゃんと話し合いましょう!彼氏さんも遊びで美沙さんと付き合ってきた訳じゃないんですよね?」
「…わかりません、けど、信じたい。でも、信じられない。」
「それで今度は彼氏さんを信じずに敦に会いに来ちゃったら、高校の時と一緒ですよ!」
「………!で、でも私不安で…何を信じたらいいのかわからなくて…。」
「だからです!不安ならちゃんと話をしましょうよ!8年も付き合ってきて結婚する予定なんですよね?」
「はい…。………そうですね。ありがとう、まゆさん。」
「いいえ!しっかり話し合ってからじゃないと、何も決まりませんよ!」
「…わかりました。別れるにしろ、このまま結婚するにしろ、ちゃんと話し合って決めます。」
「それでいいと思いますよ!敦との事は、その後に考えましょう!」
「はい、今日は話を聞いてくれてありがとうございました。」
「斉田君、旦那使って呼び出したりしてごめんなさい。」
「あぁ、もういいよ。」
「じゃあ、私たちは帰るね。本当にごめんね、斉田君。」
そう言って高垣美沙と女友達は帰っていった。