3 まゆ 召喚
「これはどういうことだよ?俺は帰る。」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!敦の気持ちはわかるが、話だけでも聞いてくれ!」
「お願い、斉田くん!美沙の話を聞いてあげて欲しい!」
「無理だ、帰る。」
居酒屋の出口に向かって歩いていると、俺の友達が手をつかんできた。
「騙し討ちみたいな真似して悪かった!けど、話聞くだけだ!頼む!」
コイツは高垣の友達と結婚したんだったか。
奥さんの頼みは断れないってか?…ッチッ!
「条件がある。それを吞めれば聞いてもいい。」
「わかった。じゃあ、部屋に戻って条件を言ってくれ。」
友達に連れられ、部屋に戻る。
「条件を呑めば話を聞くって。敦、条件を言ってくれ。」
「…俺には今真剣に付き合ってる子がいる。俺はその子にはちょっとでも不安にさせることはしたくない。」
「…それで?」
「今日の飲み会も男友達と飲むと言ってきた。だから彼女に全部話す。
それで出来れば彼女に来てもらって一緒に聞いてもらう。」
「………どうする?美沙?」
「………わかった。それでも聞いてほしい。」
「じゃあ、電話する。」
そう言って、俺の彼女、柴藤まゆに電話をかけ、事情を説明する。
「いいよ!敦がそうしたいって言うなら、今から行くよ!うーん、40分くらいかかるかな?」
「ありがとな。面倒かけて悪いな。」
「だいじょーぶ!じゃ、急いで行くよ!」
「あぁ、慌てなくていいからな?気を付けて。」
そう言って通話を切った。
「来てくれるってよ。そんじゃ、俺は外でまゆのこと待っとくから。」
「ここで待ってれば?」
「いや、まゆが来るまで話す気はないから。」
「そ、そうか。わかった。」
そう言って居酒屋の外でまゆを待った。
「お待たせ!外で待ってたの?寒かったでしょ?」
「いや、平気平気。悪いな。じゃ、行こうか。」
まゆと一緒に居酒屋の個室へと向かう。
「あ~っと、2人には結婚式でお会いしたことありますよね?えっと、こちらが?」
「はい、敦…君、の幼馴染の高垣美沙です。はじめまして。」
「はじめまして!敦の彼女の柴藤まゆです!」
「じ、じゃあ、美沙、話したいことあるんでしょ?」
「う、うん。話したい事って言うのは、高校時代に敦君と別れた時の話なんだけど…。」
高垣が話し始めた。