1 八年ぶりの再会
短いです。
「最低!もう2度と私に話しかけないで!!」
目に涙を溜め、俺を睨みつけるのは、俺の幼馴染の高垣美沙。
小学校からずっと一緒の黒髪の美少女。ちなみに俺の彼女でもある。
「ちょっと待ってくれ!意味が分からない!」
突然絶縁状を叩きつけられ、訳が分からん状態の俺は、斉田敦。
ごく普通の高校2年生だ。
「よくそんなこと言えるわね!恥知らずにも程があるわ!」
「マジで意味わかんねぇって!ちゃんと話せよ!」
「話す必要なんかない!敦とは別れる!もう私に関わらないで!」
「話さねぇとわかんねぇだろ!美沙!」
俺の引き留める言葉も無視して、美沙は走り去っていった。
どういうことだ?イキナリすぎんだろ!
俺と美沙が付き合い始めたのは中学の卒業式で俺から美沙に告白し、美沙からOKをもらえた。
ずっと一緒に居た美沙が中学に入ってからやたらモテるようになった。
美沙の事が好きだった俺は不安になり告白したという事だ。
美沙も小学校の頃から俺の事を好きでいてくれていたらしく、すぐにOKをもらえた。
それから1年半、問題なく付き合っていたはずだった。
それがなんでこんなことに…。
その夜、美沙に電話を掛けたり、メールをしたが、拒否されていた。
翌日も、学校で無視され、家に行ったりもしたが、出て来てもらえず、会えなかった。
美沙のおばさんに仲介を頼んでみたが、おばさんも俺に冷たかった。
理由を聞いても、「自分の胸に聞いてみなさい」と言われ、それからは門前払いだった。
何日か続けたが、心が折れた。
もういい。何か俺がしちまったのか、美沙の誤解かわからんが、何も話してくれなければわからない。
俺との10年以上の関係は、美沙にとってその程度のものだったという事だ。
それから8年。俺は25歳のサラリーマンになっていた。
ある日、実家のお袋と電話で話していたら、高垣が結婚するという事を聞いた。
俺と高垣が別れてから、1月後くらいに、高垣が隣のクラスの時任信二って奴と付き合い始めたと噂で聞いていた。
どうやら、時任と結婚するらしい。
へぇ、としか思わなかった。俺は時任と友達でもなく、高垣とも縁を切られているので、関係がない。
もちろん、結婚式の招待状など送られて来る筈もなく、お袋から初めて聞いた。
俺の高校からの仲のいい友達から後から聞いたが、俺には気を使って高垣関係の話はしなかったらしい。
高垣と別れ、時任と付き合った事を知った当時の俺は、落ち込み様が半端なかったから、高垣関係の話はタブーとしていたそうだ。
今は高垣の事など思い出すこともなく、思い出したとしても苦しい思いなどない。
俺にも今、本気で付き合っている彼女がいる。結婚だって考えている。
一人暮らしをしているアパートに着くと、家の前に人影があるのに気付いた。
「久し振り、敦。」
見た目も雰囲気も多少変化していたが、誰かはすぐにわかった。
今更何しに来たんだよ、高垣美沙。




