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真っ赤な吸血少女は好きな人を傷つけたくてたまらない  作者: M・A・J・O
第一章 吸血少女は傷つけたい
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第7話 一緒にいたい

 お互い生まれたままの姿になる。

 渚は背が高くて足が長くて羨ましい。

 あたしは平均身長よりもすごく低いから、なおさらその高身長がほしくなってくる。


 腕とか足とかの太さも、細すぎず太すぎずでいいバランスを保っている。

 ぜひその秘訣を教えてもらいたいところだ。


「……ん? どうしたの? 私の裸なんて見慣れてるでしょ。昔からよく一緒にお風呂入ってたんだから」


 そんなことを考えながらじっと見つめていたら、渚に気づかれてしまったようだ。


「えっ!? あ、いや、その、改めて渚の身体綺麗だなーって」

「え!? そ、そう……かな? えへへ、なんだか照れるね」


 はにかみながらも、嬉しそうな表情を見せる渚。

 そういうところがまたまた可愛いんだよね。

 あたしは外面でしか女の子らしい仕草が出せないのが、渚との決定的な違いを見せているようで軽くショックを受ける。


「花恋ちゃんも可愛いよ。アイドルとかできそう」

「えー、そう? どうせお世辞でしょ?」

「そんなつもりはないって。私たち何年一緒にいると思ってるの。今更そんなお世辞言わないよ」


 渚の言葉を聞いて、思わず頬を緩ませてしまう。

 幼なじみという関係だけじゃなく、恋人として認めてもらえていることが嬉しい。

 やっぱり、渚と一緒にいると楽しい。

 この時間を大切にするためには、あたしがもっともっと渚を苦しめたいという思いをガマンするしかないみたいだ。


「じゃ、入ろっか」

「うん!」


 一緒に浴室に入ったが、湯船に入る前に身体を洗うことにする。

 先に渚が髪を洗い始めたので、その間にあたしは身体を洗っていく。

 泡を流している最中にふと視線を感じて横を見ると、なぜか渚がこっちを見ていてドキッとした。


「……なに?」

「ううん、なんでもないよ」


 なんでもないことはなさそうだが、渚がそれ以上なにも言わないので気にしないことにした。


「せっかくだし私が背中洗ってあげるよ」

「え、ほんと?」

「うん! 任せて!」


 渚が壁際にかかっていたタオルを手にして、そこにボディソープをつけた。

 そして背中にそのタオルを当てられる。

 人に身体を洗ってもらうなんていつぶりだろう。


 昔はよく渚にしてもらっていたけど、あたしが中学の時に引っ越して今の家になってからは、渚が泊まりに来ることもほとんどなくなってしまっていたから。

 なんだか昔に戻ったみたいで、なんだか心が躍った。


 今は空の宮市に住んでいるが、昔は渚と同じ海谷市に住んでいた。

 空の宮市の東隣の場所が海谷市だ。

 いくら隣接しているとは言っても、子どもが気軽に遊びに行ける距離ではないから、一時期メッセージアプリだけで会話をしていた時があった。

 昔は家が近くて、いつでも遊びに行ける距離だったのに。


「おかゆいところないですか〜?」

「大丈夫です〜」


 渚の声を聞きながら、目を閉じてマッサージのような感覚を楽しむ。

 ついノリに乗ったけど、なにごっこをしているつもりのだろう。

 渚はたまにお茶目なところを見せてくる。

 そこも好きな部分のひとつだけど。


「よし、終わったよ」

「ありがとう。今度はあたしがやってあげる」

「わぁ、いいの?」

「もちろん」


 あたしも渚にしてもらったように、タオルで背中を擦る。

 すると、渚は気持ちよさそうな声を出した。


「あー……ちょうどいい力加減。やっぱ上手だね、花恋ちゃん」

「でしょ? 伊達に昔からよくやってあげてないからね〜」

「それもそっか」


 そうこうしているうちに、身体の泡を流すことができたので、いよいよ湯船に浸かることにする。

 二人並んで座ると、少し狭いくらいの湯船だが、密着できるからあたしとしては問題はない。

 肩まで浸かれば、疲れた身体がじわりと癒されていくような気がした。


「あー……生き返るぅ……」

「おっさんみたいなこと言ってるね」

「渚だって似たようなこと言ってるじゃん」

「私は花恋ちゃんよりちょっと歳上だから許されるんだよ」

「えー、なにそれ」


 他愛のない話をしながら、ゆっくりとした時間を堪能する。

 しばらくそうしていたけれど、そろそろ出ようかという話になり、二人でお風呂場から出た。

 バスタオルでお互いの髪についた水滴を取りながら、お互いに拭き合う。


 渚が寮生活をしているから、最近は全然こういうこともできていなかった。

 だから今だけはとことん楽しもうと、そう思ったのだった。


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