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真っ赤な吸血少女は好きな人を傷つけたくてたまらない  作者: M・A・J・O
第二章 吸血少女は愛されたい

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第44話 乗馬は楽しい

「えーっと、まずは気楽にすれば大丈夫ですよ。怖がらずに平常心で」

「いや、でも、結構たかっ……」


 高宮さんが乗っていた馬を借りて、今度はあたしが馬に乗ることになった。

 乗る時は高宮さんに手伝ってもらったとはいえ、乗るのはあたし一人。

 高宮さんが手綱を引いて、馬場を回らせてくれるらしい。


「じゃあ、行きますよ~!」

「うわぁ……」


 思ったよりも揺れて怖い!

 お尻も痛いし、何よりバランスを取るのが難しい!

 こんな不安定な乗り物に、よくみんなは平然としてられるなぁ……

 そんなことを思いながら、なんとか乗りこなしていくと、ふと高宮さんの方から視線を感じた。


「どうかしましたか?」

「あっ、いえ……結構慣れるの早いんですね」


 そう言われても、自分としては特になにも感じていないのだが……

 もしかして、話すことがないから適当に喋っただけなのだろうか。

それにしても、この人ってなんか……


「あの、ちょっといいですか?」

「はい? なんでしょう?」

「あなたって、どうしてそんなに綺麗な顔をしているんですか?」

「……へっ!?」


 突然の質問に驚いたのか、高宮さんは目を大きく見開いたまま固まった。

 そして数秒ほど経つと、みるみると顔が赤くなっていく。

 どうしたんだろうと思っていると、高宮さんはすぐに俯いて黙り込んでしまった。

 ……やっぱり変なことを聞いたかな?


「ごめんなさい、急に変なことを聞いてしまって」

「……い、いえ、別に構いませんけど……」


 明らかに動揺してる様子だけど、怒っているわけではないみたいだ。

 畜産動物の世話をしている人は結構服とか汚れるイメージだから、顔にも土とかつきそうと考えていたからこその発言だったのだが……誤解させてしまったかな。


「あ、そうだ。そろそろ一周しますよ」

「わかりました。それじゃあ、ありがとうございました」

「えっ? もう降りるんですか?」

「はい、あまり長く乗っていても迷惑でしょうし」


 実際、乗馬体験というのは一時間ほどで終了となっていることが多い。

 それ以上になると馬の負担になってしまうため、一時間〜二時間くらいで切り上げることが推奨されているのだ。

 なので、これ以上長居するわけにはいかないだろう。


 なんであたしがこんなことを知ってるのかというと、色々仕事を探していた中で牧場関連のものも出てきたからだ。

 それにしても、知識だけではわからないことがたくさんあって、なかなかに楽しめた。

 また機会があればやってみたいかも……なんて思ってしまう。

 馬から降りて、その馬を高宮さんに託す。


「それもそうですね……この子、さっき暴走したばかりだし……もっと黒衣さんに馬の魅力を伝えたかったんですけど……」


 少し寂しげに呟く高宮さんだったが、すぐになにかを思いついたように笑顔を浮かべた。

 その表情の変化に驚いていると、彼女はポケットからスマホを取り出して操作し始めた。

 一体なにをするつもりなのかと考えていると、いきなり手を掴まれてしまう。


「ちょっ、高宮さん!?」

「すみません、すぐ終わるんで待っててください!」


 そう言って高宮さんはスマホを操作し続けていく。

 そして数十秒後、ようやく操作を終えると、高宮さんはこちらを向いて満面の笑みを見せた。


「これ、私の連絡先です……! また馬に乗りたくなったらいつでも連絡ください!」

「え、でもそういうのって先生とかを通しての方がいいんじゃ……」


 馬に乗りたくなったら……ということは、また乗馬体験したくなったら連絡してほしいということだろう。

 でも、基本的にそういうことは学校側から許可を取った方がいいんじゃないかと思って聞くと、高宮さんは首を横に振った。

 すると、彼女は嬉しそうな表情のまま口を開く。

 その瞳からは、なぜかキラキラとした光が見えた気がした。


「私、先生から信頼されてるので大丈夫です」


 ……なにが大丈夫なのかわからないけど、どうしてか謎の説得力があったのだった。


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