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真っ赤な吸血少女は好きな人を傷つけたくてたまらない  作者: M・A・J・O
第二章 吸血少女は愛されたい

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第37話 夢を見つけたい

「……それで、お姉ちゃんが自分の夢を見つけろと?」

「そうなんだよね。一緒の大学に行きたかったけど、こればかりは仕方ないよね」

「まあそれは当たり前ですよ……」


 渚の妹と一緒にご飯を食べているうちに、話が渚のことからあたしたちの進路の話になった。

 渚が看護大学に行くと聞いた時は驚いたけれど、もう高校生だし、いつまでも一緒の学校にいられるものじゃないことはわかっていた。

 それに、渚がやりたいことを見つけたのなら応援してあげたいと思った。

 でもやっぱりまだ寂しい気持ちは残っている。


「花恋さんは私の夢に興味ないと思いますけど、私は家政婦になりたいと思ってるんです」

「え、なんで!?」

「うちの親が共働きなんですよ。知ってると思いますけど。その姿を見てきて、仕事と家事を両立するのは難しいんだって知ったんです。だから共働きの家庭とか仕事が忙しい人たちのためになにかしたいなって」


 家政婦には様々なスキルが必要になると聞いたことがある。

 だけど、そんな大変さもわかった上でその仕事に就きたいと思っているのだろう。

 渚の妹も、渚と同じように将来について真剣に考えていた。

 あたしはまだ将来のことを何も考えていなかったから、すごいと思うと同時に焦りも感じた。


 あたしもなにか自分のやりたいことや興味のあることがないだろうか……

 そう思ったけど、あたしの頭の中は渚でいっぱいだった。

 渚のことしか考えられない自分が嫌になる。

 いや、別にだめなことではないけど、夢のことも考えられないのは結構重症だ。


「どうしたんですか? 眉間にシワ寄ってますよ」

「あ、ごめん。ちょっと考え事してて……」

「将来の夢のことで、ですか?」


 妹はすぐに図星を突いてくる。

 この子、本当に渚に似てるなぁ。


「うん……あたしね、将来なにをやりたいとかなにになりたいとか全然思い浮かばなくて。今までずっと渚のことしか考えてなかったから」

「私もですよ?」

「えっ?」


 妹の意外な……でもどこか納得できるような言葉に、あたしは耳を傾けた。


「私だって、ずっとお姉ちゃんのことだけ見てきました。その延長にあったのが両親の存在ってだけなんです」


 そう言ってはいるが、なにかになりたいと思うことにはそれ相応の覚悟がなければいけない。

 渚の妹は家族を本当に大切にしているからこそ、両親の負担を減らしたいと願うようになったらしい。

 確かにそういう理由なら納得できるかも。


 あたしの両親も共働きだけど、自分の家族のことを考えたことなんて一度もなかった。

 お父さんお母さんのことはもちろん好きだし大切に思っているけれど、それが将来の夢に繋がるのかと言われれば違う気がする。


「ねぇ、もしよかったら相談に乗ってくれないかな?」

「もちろんいいですけど、なにについてですか?」

「あたしの夢探しに協力してほしいんだけど」


 あたしがそう言うと、妹はパァーっと目を輝かせた。

 今まであたしにそんな表情を見せてくれることがなかったから、どこか恐怖を感じる。

 ウソっぽく見えてしまうというか……

 これはあたしの心が汚れているからなのだろうか。


「任せてください! いわば共同作業ってことですよね! 花恋さんと仲良くなるためにも、私が必ずや花恋さんの夢を見つけ出してみせます!」

「いや、なにもそこまで気合い入れなくても……」


 なんだか余計不安になってしまったけれど、あたしは自分のやりたいことが見つかるまで妹に頼ることにした。

 それが吉と出るか凶と出るか、まだわからない。

 だけど、きっと自分一人で考えるよりはいい結果に結びつくだろう。


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