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真っ赤な吸血少女は好きな人を傷つけたくてたまらない  作者: M・A・J・O
第二章 吸血少女は愛されたい

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第35話 一緒にお弁当を食べたい?

 あたしは渚とのやり取りですっかり魂が抜けていた。

 クラスメイトみんなが心配になるほどだったようで、頬に手を当ててみたら口角があがっているのがわかった。


「うふふふ……」

「花恋ちゃん、なにかいいことあった?」

「えへへー」


 ニヤけていると夏樹ちゃんからそう聞かれたけど、答えようがなかった。

 頬はゆるみきっているけど、思考まではゆるんでいない。

 ちゃんと渚との関係性は伏せるつもりだ。


「わかる? わかっちゃう?」

「あ、なんだかめんどくさそうな香り……」


 めんどくさいとは失礼な!

 まあでも、結局重要なことは伏せたままにするのは確かにモヤモヤするだろう。

 それをめんどくさそうと感じるのは致し方ないことか。


 でも、渚があたしたちの関係性を秘密にしたいと言っている以上、確信的な部分を話すわけにはいかない。

 あたしが顔をゆるませっぱなしにしているから悪いのだろうが、こういう時にどう言えばいいかがわからない。


「じゃあ、そんなことを言う夏樹ちゃんには教えてあげなーい」

「えー、なにそれ」


 困ったように笑うも、それ以上は追求してこない。

 あたしはそれがありがたいと思いつつ、本当のこと言えなくて申し訳ないなとも思ったのだった。


「あの、少しいいですか?」


 お昼休みの時間になると、また渚の妹が声をかけてきた。

 ……なんだかデジャブを感じる。

 だけど、やっぱりあの頃から雰囲気がやわらかくて優しい。


「ん……なに?」

「今日もお姉ちゃんと一緒にご飯を食べないんですか?」

「あー、うん。渚はクラスの友だちと食べたいかなって……って、なんでいつも一緒に食べてないこと知ってるの!?」

「え、そりゃお姉ちゃんに聞けばすぐわかるし……そんなことより、お昼は一人ってことですよね?」

「え、まあ、そういうことになるかな」


 あたしの言葉を聞くなり、彼女は表情を変えた。

 ちょっと嬉しそうだ。

 一体どういう感情なのかよくわからない。

 この前まで敵対していたから、なにか裏があるのではと身構えてしまう。


 しかし、そんなあたしの心中を置き去りに、彼女はおもむろに自分の手提げ袋の中を探るとなにかを取り出した。

 それは小さなお弁当箱だった。


「もしよかったら、私とお昼食べませんか?」

「……え?」


 予想外すぎる提案を受けてポカンとする。

 あたしの反応を見て彼女は慌てて「あ、嫌なら無理強いはしないですけど……!」と言った。

 まるで断られるとでも思っているような感じだ。

 実際断る気満々ではいたんだけど……

 きっと勇気を振り絞って来てくれたんだと思うと、断るにも断れなかった。


「いや、別に嫌じゃないよ」

「わぁ……! じゃあ決まりですね。行きましょう!」

「あ、ちょっ、まっ……!」


 あたしもお弁当を出すと、強引に手を引かれて廊下に出る。

 彼女の歩くスピードについていくのがやっとだった。

 振り払おうかと思ったけど、ここで彼女を突き放したらかわいそうな気がしたからやめた。


 そのまま食堂に向かうのかと思っていたが、彼女が向かった先は昼間は人通りの少ない図書館だった。

 その手前にはベンチが置いてあり、簡易的ではあるが休憩スペースが作られている。

 渚の妹はここに座ってお昼を食べたいらしい。

 図書館を利用する生徒もいるみたいだが、このベンチは無人の状態だった。


「ここ、静かでいいんですよね」

「あー、そうかも」


 確かにここは静かな場所だ。

 周りは緑が生い茂り、風情があって気持ちが落ち着く。

 生徒数の多い星花女子学園には珍しい、のどかなところ。

 しかし、ここに来てなんの話をしようというのか。


「あの……お姉ちゃんとのことでお話があるんです」


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