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真っ赤な吸血少女は好きな人を傷つけたくてたまらない  作者: M・A・J・O
第二章 吸血少女は愛されたい

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第34話 あたしたちの愛

「というわけで、結婚しよう!」

「……というわけでの意味がわからないんだけど」


 子どもたちから受けた熱をそのままに、あたしは学校がはじまってすぐに渚に話しかけにいった。

 とはいえ、教室ではこんな話はできないから校舎裏に呼び出したんだけど。

 当の本人はどういう話なのか理解していないようだけど。


「だからー、渚と結婚したいの!」

「え、うん、それはわかったんだけど……急にどうしたの?」


 首をかしげながら聞いてくる渚に、あたしも首をかしげる。

 あれ? あたし今プロポーズしてるんだよ?

 なのにどうして疑問符を浮かべてるんだろう……


「もしかして嫌なの?」

「う、ううん、そんなことないよ。ただびっくりして……」


 慌てて否定する渚をじっと見つめると、彼女は恥ずかしそうに視線をそらす。

 その様子を見て可愛いと思うものの、あたしははやく答えが聞きたいから急かした。


「じゃあ結婚してくれる?」

「そっ、それは……まだ早いんじゃないかなって思うんだけど……」

「えぇ~! なんで!?」


 まさか断られると思っていなかったあたしはショックを受けた。

 そして思わず不満げに声を上げると、渚は困ったような表情をして言う。


「あー……もしかして、私が一緒の大学じゃない方がいいって言ったから?」

「それは……その……」

「ごめんね、花恋ちゃん。でも結婚は焦らなくていいと思うんだ。この国じゃ同性婚認められてないしね。だからさ、もしよかったら同棲からはじめるのはどう?」

「ど、同棲!?」


 いきなりの提案に、あたしの声が大きくなる。

 それに驚いたのか、渚はびくっと肩を揺らすと恐る恐るという感じでこちらを見た。

 断られるとでも思っているのだろうか。


「えっと、やっぱだめだったかな……?」

「だっ、だめなわけないよ! でも、いいの?」

「もちろんだよ。私だって花恋ちゃんと一緒に住みたいもん」

「やったぁ!」


 嬉しさのあまり飛び上がると、渚はほっとしたように微笑んでくれた。


「じゃ、それがもしウソだったら渚のこと殺してあたしも死ぬね」

「……花恋ちゃんが言うと本気かウソかわからないね……」


 冗談半分で言いつつ、内心では本気である。

 それにしても、渚との愛の巣なんて想像するだけでドキドキしてしまう。

 あぁ、しばらくしたら毎日一緒にご飯を食べたりお風呂に入ったり寝たりする生活が始まるのかぁ……

 そう考えるともうすでに胸が爆発しそうだ。


「あー、早く一緒の家に住みたいなぁ」

「ふふっ、気が早いよ花恋ちゃん」

「えへへ、楽しみすぎて待ちきれないよ!」


 はしゃぐあたしを見て笑う渚の顔はとても綺麗で、見惚れてしまうほどだった。

 いや、いつも見惚れてるけど。

 本当に、渚があたしのために同棲しようと言ってくれるなんて信じられないくらい幸せすぎる。


 でも、ずっと不安なことがある。

 いつか彼女のことをだれかに奪われてしまいそうということが起こらないとも限らない。

 あたしなんかより魅力的な人が現れるかもしれないし、彼女にもっと相応しい人が見つかるかもしれない。

 そうならないためにも、もっと頑張らないと!


「ねぇ、渚」

「ん?」

「これからもたくさん思い出作ろうね! 昔に負けないくらい!」

「うん、作りたいね」


 ぎゅっと手を握ると、渚は優しく握り返してくれた。

 その手がとてもあたたかくて、愛しく思える。

 やっぱり、あたしはこの人のことが大好きなんだ。


 だから絶対にこの手を離さないようにしないと。

 ――たとえなにがあっても。

 決意を新たにすると、あたしたちはどちらからともなく笑いあったのだった。


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