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真っ赤な吸血少女は好きな人を傷つけたくてたまらない  作者: M・A・J・O
第二章 吸血少女は愛されたい

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第33話 渚への期待

「ふー、やっと解放された……」


 新年早々ヘトヘトになったあたしは、気分転換のために外出することにした。

 あのまま家にいてもどうせ揉まれ続けるだけだろうし。

 外に出ると、雪が降っていた。


「うわぁ……寒い」


 この辺では滅多に雪は降らないから、目の前に広がる光景を見て少し感動した。

 雪ってこんなに綺麗だったんだ……

 今度、渚と一緒に見たいな。


 そんなことを考えながら歩いていたら、いつの間にか公園まで来ていた。

 公園には誰もいない。

 そういえば、昔はよく公園で渚と一緒に遊んでたっけ。

 ブランコに乗って遊んでいたり、すべり台をすべったりしてたなぁ。


 ……懐かしい。

 あの時の思い出に浸っていると、どうしても昔に戻りたいと思ってしまう。

 この現象はなんなのだろう。


 過去に戻れるわけでもないのに、戻りたいと願ってしまうなんて……

 いや、戻れないからこそか。

 でも、戻ったところでなにも変わらない。

 もし過去に戻ってやり直せるとしても……あたしはきっと渚を選ぶだろう。


 それくらい大切な存在なんだもん。

 それに、渚がいない世界なら意味がない。

 あたしにとって、渚がいることが当たり前になっていたから。


「会いたいなぁ……」


 昨日会ったばかりだというのに、もう会いたくなってきてしまった。

 こんなんじゃ、別々の進路に進む時に支障が出てしまう。

 渚の背中を押すと決めたばかりなのに、どうしてか渚と一緒にいたいと思ってしまう。


「それならいっそ、渚の大学進学と同時にあたしが渚の家に押しかけようかな……」


 そんなことをぼそりとつぶやいてみたけど、流石にそれはダメかと思った。

 渚はあたしの人生を大切にしてほしいと言った。

 それはおそらく、渚の人生もあたしに理解してほしいということなのだろう。

 自分はこの道を進むから、あなたもあなたの道を進んでと。

 だから、押しかけるという選択肢は間違っている。


「まあ、今考えても仕方ないよね」


 その時のことは、その時にならないとわからないものだ。

 今はただ、前を向いて歩くしかない。

 それが今のあたしができる最善策だと思う。


 それはともかく、そろそろ帰ろうかと思い振り返ると、ちょうど小さな子どもたち二人とすれ違った。

 きゃははと楽しそうに走り回る子どもたちを見て、なんとなく少し眺めていたくなった。


「ねぇねぇ、ゆきだよゆき! きれーだね!」

「うおー! たのしー!」


 はしゃぎながら降ってくる雪を掴もうとする子どもを見ていると、あたしも渚と雪の日に遊んでみたかったと思う。

 渚と一緒に雪だるまを作ったり、雪合戦をしたりしてみたい。

 そして、最後は二人で温かい部屋に入ってコタツに入りながらぬくぬくするのだ。

 そんな妄想をしているうちに、三つ編みの子がなんの前触れもなく頬を赤らめて髪の短い子に言う。


「あのね、わたし――きみと〝けっこん〟したいの!」

「えっ!?」


 突然の言葉にあたしが驚いてしまった。

 子どもの戯言だとわかっていても、なぜか動揺してしまう。

 だけどあたしの声は二人に聞こえていなかったようで、話は続く。


「そんなん、おまえいつも言ってるじゃんか」

「えっ!?」


 まさかの展開である。

 てっきりあたしは、「〝けっこん〟ってどういうこと?」とかいう言葉が出ると思っていたから。


「ちがうよぉ。もっとちゃんとしたプロポーズをするの」

「ふーん、そーなんだ」

「きょーみなし!?」


 そんな二人のやり取りを遠目に、あたしはすごいことを思いついていた。

 そうだ。渚と進路が違っても――結婚すればいいじゃないかと!


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