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真っ赤な吸血少女は好きな人を傷つけたくてたまらない  作者: M・A・J・O
第二章 吸血少女は愛されたい

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第32話 自分のおっぱい

 濃厚な年越しを終えたあと、あたしは家に帰ってきていた。


「うわあああん! 花恋ちゃんがお母さんを放ったらかしにするなんてー!」

「……うるさ」

「えええ!? 花恋ちゃん、いつにも増して冷たくない!? ひどいよぉ!」


 あたしの部屋で騒ぐお母さんの声を聞きながら、ベッドに転がる。

 朝起きたてからずっとこの調子だ。

 お母さんの叫び声で耳がおかしくなりそうだった。


 お正月くらい静かに過ごせないのかとため息を吐いた後、部屋にある本棚に目をやった。

 そこには、今までに読んだ本の背表紙が見える。


「……」


 一冊だけ背表紙が真っ黒な本が目に入った。

 それは、去年の夏休みに旅行に行ったときに買ったホラー小説である。

 まだ読んでいないけど、どんな内容なのか気になって仕方がない。

 確かあらすじでは猟奇的な殺人鬼が出てくると書かれていた気がする。


 新年早々読みたい気もするが、なんだかなにもする気が起きない。

 昨日……今日? は朝日が昇るんじゃないかという時間まで外にいたからなぁ。

 しかも、今はうるさい母親が近くにいるし。


「年明け最初は花恋ちゃんのおっぱい揉むんだって決めてたのにー!」


 前々からずっと思ってるけど、なぜそんなにもあたしのおっぱいに対して執着があるのか。

 それだけが謎だけど、一向にその理由を教えてくれない。


「もうっ! そんな冷たい態度を取る子にはこうだ!」

「きゃあっ!?」


 いきなり馬乗りになって目の前に現れたお母さんににびっくりした。

 一体なんのつもりかと思ったら、おもむろに服の中に手を入れてきたではないか。


「ちょっ、それはさすがに……」

「いいじゃんー。ちょっとだけだから!」

「いやいや、お母さんが娘を押し倒してるような構図になってるのはどうなの?」


 あたしなりに拒否の反応を示すものの、お母さんは取り合ってくれない。

 そして、とうとうブラジャーの中へ手を突っ込んできた。


「あれ、なんか小さくなった?」

「そんなことあるわけないでしょ。いつも服の上からだったからそう感じるんじゃない?」

「おー、なるほど」


 納得したようにうんうんと頭を上下させたお母さんだったが、そのまま胸を鷲掴みにしてきやがった。

 相変わらず遠慮のない力加減に思わず眉間にシワを寄せてしまう。

 揉むなら揉むでもう少し遠慮というか、優しくすることを覚えてほしい。


「うぅん、やっぱり花恋ちゃんのおっぱいが一番だよ~。あ、そうだ。せっかくだし今度一緒に温泉行こうよ! 温泉の中でいっぱい揉ませてね♡」

「もはや欲望を隠す気もないのか……」


 どうしてこの人はここまであたしのおっぱいが好きなのだろう。

 それにしても温泉で揉まれるとか嫌すぎる。


 場所が嫌なんじゃなくて、大勢の人が利用する中で揉まれ続けるとか地獄でしかない。

 利用者がいない時間帯とかあまり賑わっていないところならいいのだけど、そうでないと確実にだれかに見られながら揉まれることになる。

 絶対に阻止せねば。


「お母さん。残念なお知らせです」

「え? なあに?」

「あたし、お母さんと一緒に温泉に行く気はないよ」

「……えぇ!? 嘘でしょう!?」


 素直に告げるとショックを受けた様子を見せる母。

 まあ確かに、これまで家族旅行だって何度もしているから、突然拒絶されると驚くよね。


「そんなぁ……花恋ちゃんと温泉に入りたいぃ……」

「別に前にも一緒に入ったことあるからそこまで悲しまなくても……」

「だって! 最近花恋ちゃんのおっぱい揉み足りないんだもん!」

「え、こんなに揉んどいて……?」


 この人、本当にあたしのおっぱいが好きなんだな……

 呆れを通り越して感心してしまうレベルだ。

 でもそろそろおっぱい離れしてほしいなと思いながら、また今日も揉まれ続けるのだった。


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