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真っ赤な吸血少女は好きな人を傷つけたくてたまらない  作者: M・A・J・O
第一章 吸血少女は傷つけたい
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第19話 撃退したい

「君、髪真っ赤なんて珍しーね。なに? なんかのアニメの影響?」

「いえ、赤が好きなのでこうしてるだけですけど……」

「ふーん? 変わってるねぇ」


 ナンパ男は会話している最中もあたしの身体を舐め回すように見てくる。

 処したいけど、ここは人が多いしあまり目立った行動はできない。


 ある程度整った顔をしているのに、なんだか気味が悪かった。

 あわよくば持ち帰りたいとか考えているのだろうか。

 そんなピンクな思考がダダ漏れているような、変態的な顔つきをしている。


 なぜあたしには変態が言い寄ってくるのだろうか。

 お母さんのこともあって変態には耐性があるけど、あたしには渚がいるからナンパしないでほしい。


「ってかさ、もうすぐクリスマスじゃん? 俺彼女いないから寂しくてさぁ」

「はぁ……」

「だから君が彼女になってくれたら嬉しいんだけどなぁ」

「あー、その、あたしもう恋人いるので。そういうのは他の方に声かけた方が」

「えー!? そうなの!? 俺結構君のことタイプなんだけど!」


 そう言って馴れ馴れしく肩に手を乗せてきた。

 今すぐにでも振り払いたかったけど、あたしはぐっと堪える。

 弱気になったわけでも、怖いと思ったわけでも、ましてやこいつちょっといいかもなんて思ったわけでもない。

 こいつは勝手に放っておいても自滅する。


 あたしは相変わらず冷めた目と冷静な頭脳でそのナンパ男を見る。

 なぜか自分の勝利を確信しているような笑みに、正直呆れた。

 なんでそこまで自信が持てるんだろう。


「あ、あの、あたし……」

「ん?」

「――レズなんです!」

「は?」


 泣き出したり周りの人に助けを求めてもよかったのだが、下手に相手を刺激するとよくない。

 こういうやつは報復したがるところがあるから。


「だからあなたのこと恋愛対象として見れないんです。本当にごめんなさい」

「え……ま、まじか……そ、そっか、それなら仕方ない……よね?」


 ナンパ男は本気で引いているらしく、いそいそとあたしから離れていった。

 実際、同性愛者というだけで引く人は一定数いる。

 それについてはよく思わないところが少しあるけど、こうしてナンパ男を撃退できているのだからよしとしようか……


 あたしが他人に同性愛者だとバレたところで痛くも痒くもない。

 昔から渚という女の子が好きだったのだ。

 あたしにとっては女の子と恋をすることこそが普通なのだ。

 例え世の中がそれを認めなくとも、渚だけがいてくれればいい。


 渚以外に特別な感情を抱くことはないだろう。

 そしてそれはこれから先ずっと変わらない。

渚以外の人間に心を開くこともきっとないだろう。

 渚さえいればそれでいい。

 それがあたしの生きる意味であり、すべてだと思っている。

 だから、この気持ちだけは誰にも否定させない。

 誰にも侵させたくない。


「……渚」


 渚のことを想うだけで胸が温かくなって幸せな気分になる。

 渚に会いたくてしょうがない。

 はやく渚の声を聞いて安心したい。

 渚の顔を見て癒されたい。

 渚を抱き締めたい。

 渚を感じたい。

 渚に触れたい。


「あ……そういえばもうすぐクリスマスだっけ」


 若干ヤンデレな思考に陥ったところで、ふとさっきのナンパ男が言っていたことを思い出した。


「プレゼント買わなくちゃ」


 渚へのクリスマスプレゼントはなにをあげようかな。

 去年は少し安めのネックレスをあげたけど、あれじゃいつも同じだし、もっと別のものにした方がいいかもしれない。

 渚はなんでも似合うから困ってしまう。

 あと学生だからお金がなくて困る。

 高校生の財布事情というのはかなり厳しいものだ。


「どうしよう……」


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