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第55話 エピローグ

こんにちは。

頭の中の物語を文字にしてみます。

ラストにたどり着けるように、不定期ですが更新したいと思っています。


よろしくお願いします。


※最終話です!

~あれから後~


 夕方、営業から戻った海斗は、自分の席に腰を下ろして一息ついていた。

デスクに置いてある資料にサッと目を通す。

ふとフロアの奥の方で、数名の社員に囲まれ花束を抱え涙ぐんでいる亜理紗の姿が目に入った。


 亜理紗は海斗の姿を見かけるとこちらに歩いて来た。

「そうか。今日が最終出勤日だったんだな……お疲れさま」

海斗の言葉に亜理紗はほほ笑みながら頷く。

「次はどうするの?」

「私ね、初めて自分でやってみたい事が見つかったの。だから頑張ってみるつもり。今までずっと海斗の背中ばかり追いかけてたけど……これからはもっと周りに目を向けてみるよ」

「そっか……今まで色々ありがとうな」

亜理紗は涙をいっぱい溜めて懸命に笑っていた。

「うん……最近の海斗。私が今まで見てきた中で、一番いい顔してるよ! 私も負けないくらい素敵な彼氏見つけるから!」

「そうだな! 亜理紗の事、応援してるよ」


 海斗は拳を目の前に出した。

亜理紗は海斗の拳に自分の手をつき合わせ、ふふっと笑う。

「ありがと……ばいばい……」

亜理紗はそう言うと、後ろを向き他の社員の所に歩いて行った。



 海斗が自分のデスクに目を戻すと、ふとスマホにメッセージが入っていることに気がつく。

「あ……」

メッセージを読んだ海斗は慌てて荷物をまとめ、部長に声をかけるとフロアを走って後にした。

そんな海斗の背中を「あいつも、いよいよかぁ……」と部長は笑って見送った。





 病院に着いた海斗は急いで病棟に上がり、ナースステーションに向かう。

すると後ろから「海斗くん!」と声をかけられた。

「お義母さん!」

先に病院に着いていた千紘の母親に呼びとめられた。

「会えてよかった! 初めてのお産だからね、まだ時間はかかりそうって。一旦、食堂で待ってたのよ。走って来たんでしょ? 少しお茶でも飲んでからでも大丈夫よ。千紘に声かけておくわね」


 海斗はほっとして誰もいない食堂に腰をかけた。

どこかから元気な赤ちゃんの泣く声が重なって聞こえている。

きっと今までは何とも思わなかったであろうその声に、不思議な心地よさを感じていた。


 と、突然スマホが着信を告げ、海斗は画面を確認して慌てて電話に出る。

「もしもし!」

電話の相手は正樹だった。

「海斗? 元気? そろそろかなって思って電話したんだ」

「正樹、すごいタイミングだな……陣痛が始まったって連絡もらって、今病院に着いたとこ」

「え?! 本当? もう産まれたの?」

「いや、まだ時間はかかりそうだって」

「そっかぁ。楽しみだね。ちーちゃんに頑張れって伝えて! 産まれたら必ず会いに行くからって」

「当たり前だろ。お前に一番に会わせたいって、千紘言ってたもん。俺が父親だってのに!」


 あははと笑う正樹の声の後ろからは英語の会話が聞こえていた。

「正樹、相変わらず忙しくしてるんだな。次はいつ日本に戻れそうなの?」

「うーん。しばらく帰れない予定だったんだけど、死ぬ気で時間作って明日にでも帰る気でいるよ!」

「おいおい……無理すんなよ」

「……」


 突然、正樹の声が途切れ、海斗は「もしもし?」と声を出す。

しばらくしてから正樹が言った。

「海斗……ありがとう。本当にありがとうね。ちーちゃんの事、ずっと見守ってくれてありがとう」


 海斗の脳裏に今までの様々な正樹の表情が浮かんでいた。

正樹を救うため、千紘と共に過去にループした日々が今はもう遠い昔になっていた。


「うん……これからは千紘も新しく産まれてくる子供も、家族も。正樹の未来も。見守ってくよ」

「あはは。ありがとう。じゃあ……また日本に着いたら連絡するよ」

海斗は通話の終了画面を見つめながら「正樹、俺の方こそありがとうな」とつぶやいた。





 千紘は必死に持ち上げていた頭を、ばたっと後ろに倒す。

虚ろな耳に、大きな赤ちゃんの泣き声と、助産師さんの声が入ってくる。

「佐々木さん! 元気な男の子ですよ~」

「今、パパ呼んできますからね!」


 しばらく茫然と天井を見つめていた千紘の隣に、タオルのおくるみに包まれた赤ちゃんが、そっと寝かされた。

千紘は初めて出会う自分の赤ちゃんの、その顔を覗き込む。

そして「あ……」とつぶやいた。



 その瞬間、千紘の今までの二度の人生が頭の中を駆け巡る。



――ずっと自分の人生は後悔の連続だと思っていた。

でも、その人生も私にとっては必要な時間だったんだ。

だからこそ、変わりたい、強くなりたいって思えた。

マサくんを救うための、諦めない気持ちを持つことができたんだ。

誰でも、いつからでも変わることができる。前を向くことができる。

私はそれを、あの石から教えてもらったんだ……



 ちょうどその時「パパ来ましたよ!」という声と共に、海斗が入って来た。

「千紘。がんばったな……」

そう言いながら赤ちゃんの顔をそっと覗き込んだ海斗も「あ……」とつぶやいた。

千紘は海斗の顔を見て「うん!」とほほ笑む。



 そして赤ちゃんの頬を指で優しくなでて、そっと声をかけた。

「戻ってきてくれてありがとう。また、会えたね……」




 最終話まで、お読み頂きありがとうございました!


 今回の物語は、途中で何度も投げ出したくなるくらい……悩み・悩み・悩み抜いて書いた物語でした。

構成もそこそこに、勢いで書き出してしまった自分を何度叱ったことか。

元々決めていたラストが「私は未来に帰らない!」という千紘の台詞のみだったという、無謀な挑戦でした。


 そして最後まで悩んだのが「マサくんの生死」でした。

でも物語を進める内「やっぱりマサくんを救いたい!」と主人公さながらに思い、それからはどうやったらマサくんを救い出せるのか、物語との闘いでした。


 こんな経験をさせてもらえた「小説家になろう」さんに感謝しています。


 そして最後に、拙著にも関わらず、アクセスしてくださった方、お読みいただいた方、ブックマークしてくださった方、評価してくださった方……本当に本当にありがとうございました。

心より感謝申し上げます。


 それでは。またぜひお会いできますように。ありがとうございました。

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