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第54話 千紘の答え

こんにちは。

頭の中の物語を文字にしてみます。

ラストにたどり着けるように、不定期ですが更新したいと思っています。


よろしくお願いします。


※次回で完結です!!

 千紘と海斗は喫茶店を出て、夏の終わりの夜道をゆっくりと歩いていた。

今までに何度この季節の夜道を二人で歩いただろう。

ループから8月27日に戻る度、打ちのめされ、悲しみ、時には驚き……様々な感情を抱えて過ごしてきたことを二人は思い出していた。


 千紘は夜空にうっすらと(またた)く星を見上げた。

「別荘地に引っ越してからは、マサくんの部屋の天窓から毎晩星を見上げていました。この都会の夜空にも目には見えないけれど星はいっぱい輝いている……」

「正樹は? 今何をしているの……?」

「マサくんはずっと理学部に行きたいって言ってて、高校も理学部の大学がある所の付属校に通ったんです。

過去に戻る事を考える過程で知った学問を学びたいって思ってたみたいなんですけど……」



 ――2014年の秋の気配を感じ出した頃のある日。

マサくんは息を切らしながら千紘の部屋に飛び込んできた。


「ちーちゃん。僕決めたよ! 大学で勉強したい事!」

「え?! どうしたの急に? 理学部の希望出すって言ってなかったっけ?」

「そうなんだけど! 理学部は変わらないけど、天文学にする!」

「天文学?! そんなの大学で勉強できるの??」

「できるんだよ! 調べたんだ!

もう、今の僕は過去にとらわれてたあの頃とは違うんだ。ここで生活するようになって、僕は星空にいっぱい希望をもらった。だからもっともっと勉強したい。もっと色んな事が知りたい。これからは未来を見て歩いていくんだよ」

千紘はマサくんの勢いに押されて、思わずふふふと笑っていた。

そして、うんと頷き「応援する!」と言った。


 そんな千紘の笑顔を見つめていたマサくんは、突然千紘をぎゅっと抱きしめた。

「え?! マサくん?! どうしたの……」

戸惑う千紘の頭の上でマサくんのはっきりした声が聞こえた。


「ちーちゃん。今まで本当にありがとう。僕は大学に入ったらここを出るよ。

だからちーちゃんも、もう自分の未来だけを見て進んで行って欲しいんだ。

ちゃんと自分が幸せになる人生の選択をして欲しい……」

そう言うとマサくんはぱっと手を離し、千紘ににっこりと笑顔を見せた。


「マサくん……」

「じゃあね」

マサくんはさっと後ろを向いた。

そして千紘の部屋を出る直前にぴたりと足を止める。

「海斗に会ったら、また公園のベンチで話でもしようよって、伝えてね……」

後ろ手に手を振り、マサくんは階段を降りて行った。


 それから年が明け、マサくんは付属の大学ではなく、別の大学に合格し実家を離れて行った。



「マサくんは今、大学の博士課程に進んでいて、研究者になるのかなって思ってたんですけど。最近は理科の先生もいいなって言いだしてて。

星の、宇宙の魅力を、未来の素晴らしさを、子供たちに伝えられたらなって言ってます。

本来自分には、2013年以降の未来が来ることはなかった。でも、今はそれを与えてもらったからって言って……」

「正樹は、やっと未来を見ることができる様になったんだ……千紘が正樹を、正樹の心も救ったんだよ」


 千紘は、はにかみながら少し下を向いた。

「そうだとしたら。私がそう行動出来たのは、海斗さんのおかげです」

「……どういうこと?」

「私が『変わりたい。もっと自分に自信をもって、強くなりたい』って思えたのは、海斗さんに出会えたからです。だからこのループに向き合う事ができたんです」

「千紘……」


 千紘は海斗に向き直り立ち止まる。

「前に海斗さんは言っていました。『全てがはっきりしたら、その時に気持ちを聞かせて欲しい』って……」

「そうだね……」

「私はマサくんを救うため、マサくんと一緒に小学校四年生から人生をやり直してきました。それでも、何年経っても、一つだけ消えない想いがありました」


 千紘は海斗の瞳を見上げる。

海斗の後ろの夜空には星がちかちかと揺れて見えた。


 ――マサくん。もう私は一人で星座を見つけられるようになったよ。


 千紘は心の中でつぶやく。

そして海斗に向けて言った。


「私は海斗さんの事が好きです。私の未来は、あなたと一緒に歩いていきたい。


その人生の選択をするために、私は今、あなたの前に立っています」



お読み頂きありがとうございました!!! →つづく


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