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第40話 千紘のループ:小学校4年生

こんにちは。

頭の中の物語を文字にしてみます。

ラストにたどり着けるように、不定期ですが更新したいと思っています。


よろしくお願いします。


※年内最後の更新です!来年もラストまで完走目指して頑張ります!

~2007年6月13日~


 千紘は学校に向かうため、家の門を開けた。

通りがかりにマサくんの家との間にある、あの石を見てみる。


「この石はいつも変わらず同じなんだ……」

石はつい最近見た未来のものと全く同じ様子でそのまま佇んでいた。


 そして石の前を通り過ぎ、マサくんの家をそっと覗く。

今日も家の中は静かで人がいる気配はしなかった。



 昨日、母からマサくんの引っ越しの話を聞いた時、マサくんの家族は新しい土地への引っ越しの準備のために家族で出かけたと聞いた。

「マサくんも二日くらいは学校を休むんじゃない?」

母はそう言っていた。


「マサくんに会えるのはもう少し先か……」

千紘はそう思いながら、小学校へと向かう。





 教室に入ると「ちーちゃん、おはよう!」という声が聞こえた。

笑顔で近寄って来たのは当時仲の良かったゆみちゃんだ。

「ゆみちゃん……懐かしい!」

千紘は何年ぶりかで見る友達の顔についつぶやいてしまう。

小学校の高学年ではクラスが離れ、それ以来疎遠になってしまった友達だった。


 ゆみちゃんは笑顔で昨日の歌番組のアイドルの話をしだした。

「やっぱりケンくんが一番かっこいいよね!」

千紘はその言葉に笑顔を返しながら思い出す。

あの時期はみんながこのアイドルに夢中だったなぁと。

一番人気はいつもセンターで歌っているケンくん。

でも本当は、千紘は右端で歌っているハジメくんのファンだったのだ。

でも、当時の千紘には友達と違う意見なんて言えなかった。



 千紘はそっと友達の様子を伺いながら、つぶやくように言ってみた。

「ケンくんもカッコいいけど、私本当はハジメくんが好きなんだよね……」

その言葉を聞いた途端、ゆみちゃんが「え……?」と目を丸くして固まった。

まずいことしたかな……と千紘は横目でゆみちゃんを見た。


 するとゆみちゃんは急に笑顔になって言った。

「そうだったんだ! かぶらなくて良かった〜。一緒に応援できるね!」

チャイムの音が聞こえ、みんな席につく。

「また休み時間にね!」

ゆみちゃんは手を振って自分の席に戻って行った。



 千紘は心の中で思っていた。

「自分の本心を出すことは悪い事じゃない。少し勇気がいるだけ……」

子供の頃の自分には出来なかったことだけど、と。





〜2007年6月15日〜


 千紘はまだマサくんに出会えずにいた。

家の様子から帰って来ていることは確かだったが、マサくんの姿は見えなかった。

「あんなにいつも一緒に遊んでいたのに、この時期ってここまで会えなかったんだっけ……?」


 千紘は不思議に思いながら帰り道を歩いていた。

「そういえば、海斗さんにも会えていない……」

この時期の海斗は小学六年生。

やはりここまで来るのは難しいのかも知れない……千紘はそう思いつつも、どこかで海斗が過去に戻っているのかは不安を感じ始めていた。



 千紘が考え込みながら下を向いて歩いていたその時。


 ドシンッ


 という大きな衝撃を背中に感じた。


 千紘は一瞬何が起こったのかわからず、そのまま前のめりにふらつき、足がもつれて転びそうになった。

そしてその態勢のまま後ろを振り返り「あっ……」と声がもれる。


 目の前に立っていたのは小学生のマサくんだった。



 千紘は瞬時に理解した。

引っ越しが決まってからのマサくんはだんだんと暴力的になっていった。

千紘を見かけると後ろからランドセルを突き飛ばし、走り去るようになったのだ。



「今がその時だ……!」千紘は心でそう叫び、後ろに倒れながら手を伸ばし懸命に声を出した。

マサくんが行ってしまう前に伝えなければ。


「マサくん! 私、たどり着いたんだよ……ここがマサくんの最初の後悔なんでしょ……」



 その言葉が言い終わるか終わらないかの内に、千紘の腕は引き上げられていた。





 千紘は目の前のマサくんを見つめていた。

今目の前にいる小学生のマサくんは、未来から戻ったマサくんなんだろうか……



 しばらく時間がたち、ゆっくりとマサくんが口を開いた。

「ちーちゃん……ありがとう。来てくれたんだね」

千紘はその言葉にはっと顔を上げ、みるみる涙が溢れてくるのがわかった。


「マサくん……ずっと探してたんだよ……石の前で高校生のマサくんに会ってから、ずっと……」

小学生の千紘は泣きじゃくるように言った。


 マサくんは困ったような顔をしながら「ごめんね……」と小さく言った。



「僕自身も混乱してる所もあったんだ……いろんな事が起きすぎて、感情もついて行かなかった。まさか……まさか自分が死んでしまうなんて……思ってもいなかったから……」


 その言葉を聞き、千紘は心がぎゅっと掴まれたような気持ちになった。

そしてマサくんの両腕を掴み何度も揺すって言った。


「そんな事ない! そんな事、言わないで! 私はマサくんを助けるためにここに来たの! 一緒に考えよう。マサくんが助かる道を」


 マサくんは千紘を見つめ、寂しそうに笑って言った。

「ちーちゃんは強くなったんだね。もうあの頃の、泣き虫のちーちゃんじゃない」



 そして千紘の手を握り、続けた。

「僕の人生で一番最初の後悔のこと……ちーちゃんに伝えるね」

お読み頂きありがとうございました!!!→つづく


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