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第38話 あの日の真実

こんにちは。

頭の中の物語を文字にしてみます。

ラストにたどり着けるように、不定期ですが更新したいと思っています。


よろしくお願いします。


※2日に1回程度の更新を目標にします。年末年始は可能な限り、書き続けられたらな…と思っています!

~2021年8月27日~


 正樹は8度目のこの日を迎えていた。

石の前に立ち、静かに待ち続ける。

いつか気がついてもらえる日を待ちながら……





~2013年6月~


 2013年8月27日、本来であればこの日に正樹は100日間の人生最後の旅を終え、空へと導かれる日だった。

そうすれば心穏やかに人生を終えることができたのかも知れない。


 それでも、正樹は「人生最後の旅に出る」という選択をしなかった。

100日間、いつものように毎日を過ごし、この石の前に来て過去に戻る方法を考え、自分の記憶のことを考えた。

そしてそんなある日、正樹はふと石に触れてみたくなり手を伸ばしたのだった。


 今まで、この石に触れた事はなかった。

なぜならこの石は、神聖な、神様の宿る石だと思っていたから。

いつもいつもこの石の前で遊んで、この石に話しかけていた。

でも決して触れることはなかった。



 正樹は恐る恐る手を伸ばす。

震える手が石の真上に来た時、引き込まれるような力を感じ、正樹の手は石に触れていた。

その瞬間、ものすごく大きな突風が吹き、正樹の魂はどこかへ飛ばされていた。



 目を覚ました時、正樹は確信した。

「ついにわかった。過去に戻る方法が!!」





 正樹は興奮していた。

過去に戻る方法がついにわかった。

「なんでこの石に触れると過去に戻るのか?」その仕組みなんてどうでもいい。

とにかく過去に戻ることができる、その事実だけで今の正樹には十分だった。


 いや、待て。

という事は、2013年5月20日の出来事も変える事ができるかも知れない……



 しかし、正樹の期待はすぐに絶望へと変わった。

何度、過去へ戻っても2013年5月20日の出来事は変えられず、100日間の期限も1日1日と短くなる一方だった。

その上、いつまで経っても人生最初の後悔にはたどり着けなかった。

「これでは何も変わらないまま100日間が経ってしまう。100日目を迎えた時、僕はどうなってしまうのだろう? 人生最後の旅に出なかったとしても、空へと導かれてしまうのか……?いやむしろ、地の底へと落ちていくのか……」



 正樹は石の前で立ち尽くしたまま、17年という自分の短い人生を振り返っていた。

そしてやはり、同じところで思考は停止するのだ。


「僕は人生で最初の後悔に戻りたい。あの後悔から人生をやり直したかった……」



 正樹はじっと考えを巡らせていた。

「それでも……もし100日間が経って僕の存在が消えてしまうのなら、その前にやっておきたい事がある……」


 正樹は、自分がなぜ人生最初の後悔からやり直したいと、こんなにも強く願っていたかを改めて思い出していた。

「僕は、心から大切に思っていた人を、ずっと守りたいと思っていた人を、自分で傷つけて逃げてしまったんだ……」





~2013年8月27日~


 正樹の100日間の期限が終わる日。

正樹は家から携帯メールを送っていた。


「海斗に一緒についてきて欲しい所があるんだけど……」



 今日が終わってしまえば、自分の存在はどうなるかわからない。

「その前に、ちーちゃんと海斗をつなぎたい……」


 本当は自分が千紘を守りたかった。

たとえ隣に立つ存在になれなかったとしても、見守りたかった。

でも、今の自分にはそれは叶わないだろう。

だから「自分のこの想いを全て、海斗に託したい」その一心で行動したのだ。



 海斗からは「いいよ!」という返事が返ってきていた。

正樹は待ち合わせの場所と時間を伝え、落ち着かない様子で待っていた。


 それでも、待っても待っても海斗は現れなかった。

「もう、時間がない!」


 正樹は一人で千紘の家に向かった。

「急がなければ! 期限が来てしまう前に何か1つでもつながなければ……」


 気持ちは焦り、足がもつれそうになりながら走り出す。

千紘の家までの角に差しかかった。

正樹は歩調を緩め、そっと覗き込むように角を曲がる。

辺りには誰の姿も見当たらない。

ゆっくりと歩いて一旦石の前で立ち止まった。



 すると隣で「もしかして、マサくん?」と問いかける声が聞こえた。

反射的に振り返り、正樹は少しがっかりする。

声をかけてきたのは千紘の母親だった。


「お久しぶりです……」正樹は小さな声で言った。

「本当に久しぶりね。どうしたの?」

「ちょっと……昔の家が見たくなって……」

正樹は戸惑いつつ適当な理由を答えた。


「ちーちゃんは?」と正樹が聞こうとしたのと同時に、おばさんが言った。

「そうなんだぁ。千紘もいればよかったわねぇ。今、部活に行ってるのよ」



 千紘の母親に挨拶をし、正樹は肩を落として大通りに向かって歩いていた。

「また、何もできなかった……」

もう周りの音は何も聞こえない。

そして正樹がそのまま、あの横断歩道に入った瞬間……



 無残にも、正樹の100日間の期限が終わったのだった。

お読み頂きありがとうございました!!!→つづく


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