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第33話 気がついたこと

こんにちは。

頭の中の物語を文字にしてみます。

ラストにたどり着けるように、不定期ですが更新したいと思っています。


よろしくお願いします。

 正樹は石に触れた手をじっと見つめた。

何かを感じたような気がした。


 いや、思い違いか……?



「もしかして! マサくんじゃない?!」

突然声が聞こえ、正樹はどきっとして振り向く。

立っていたのは、千紘の母親だった。


 おばさんは昔と変わらない優しそうな顔をしている。

千紘にそっくりな目で正樹を見つめながら言った。

「やっぱりそうだわ。懐かしいわねぇ。あっ! ちょっと待っててね。千紘、起こして来るわ。まだ寝てるんだから……」


 正樹は慌てて「いえ……」と言ったが、おばさんの耳には届かず、もう玄関の中に入ってしまっていた。

突然の状況に戸惑っていると、がたがたがたという階段を駆け降りる大きな音と共に千紘が飛び出して来た。


 正樹は千紘の姿に目を丸くする。

千紘は、Tシャツ姿にぼさぼさの髪の毛を手で撫でつけながら「あはは……マサくん、久しぶり……」と照れていた。

そんな千紘を見て、正樹は思わず笑い出してしまう。

そして「色んな事を何度も考えてたけど……なんか、安心した……」と言った。



「マサくん、入って入って!」とおばさんに促され、正樹は戸惑いつつも千紘の家に入って行った。





 千紘は一旦洗面所に行って顔を洗っていた。

突然、母親に「マサくんが来てるよ!」と叩き起こされ、着替えもそこそこに飛び出してしまった。

海斗がマサくんを連れて来てくれるはずだと、心づもりはしていたのだが「完全に油断してた……」と落ち込む。


 そっと覗くとマサくんはリビングの椅子に座っていた。

「中学生だよね……」

マサくんはシャツにデニム姿で、前回のループの時よりもまだ幼さが残る顔立ちをしていた。



 千紘はそっとリビングに入り、マサくんの向かいの席に座る。

えへへと笑いながら、改めて「久しぶりだね」と言った。

「うん……」とマサくんが答える。


「えっと……一人で来たの?」

「え……まぁ、そうかな」

「急にどうしたの……? 何か、あったの……?」

千紘はどう切り出していいかわからず、たどたどしく話をする。

「うん……久しぶりに来てみたくなって」


「ほんと久しぶりよね。引っ越し以来だから、3年ぶりくらい? マサくん、かっこよくなったね」と母がお茶を出しながら言った。

それからしばらくは、母がマサくんに最近の様子を根掘り葉掘り質問して、マサくんはたじたじになっていた。


「ねえ、マサくん、お昼ご飯食べて行って! 今からお買い物行ってくるから。千紘、お茶のおかわり入れてあげてね。行ってきま~す」

母は嵐のように出て行った。


 千紘はため息をつきながら「ごめ~ん。いろいろ聞かれて嫌じゃなかった?」と笑った。

マサくんも笑顔で「おばさん、変わらないね。なんか楽しかった」と言った。

千紘はマサくんの笑顔を見てほっとしていた。



「私ね、マサくんが引っ越す前の時、ちゃんと話ができなかったでしょ? だから、もう一度会いたかったんだ。マサくんに」

真っすぐに目を見て言う千紘の姿に、マサくんは一瞬戸惑いが映る目をした。

そして下を向いて「そっか……」と言い、「ちーちゃんはすごく大人になったんだね……」と小さく言った。


「え……?」と千紘が聞き返す。

マサくんは「ううん」と笑顔を見せた。

千紘は少し不安を感じつつも続けた。

「また、マサくんと前みたいに連絡取りあえるようになりたいの。もう一度、私と友達になってくれないかな?」

千紘が差し出した手を見つめ、マサくんは躊躇(ためら)いつつも「うん」と言ってその手を握った。


 千紘は「よかったぁ……」と息をつき、安心した顔をしていた。

マサくんはそんな千紘の顔を静かに見つめていた。





「今度はマサくんの家にも遊びに行くね!」

「うん。待ってる」


 正樹は手を振り千紘の家を後にして、ゆっくりと歩いていた。

そしてふと石の前で立ち止まる。


 正樹は、はっきりと気がついた。

「僕が会いたいのは、あの日のちーちゃんだ。小学校四年生のちーちゃんだ。だから……やっぱり過去に戻らなきゃいけない……あの日の後悔に、戻らなきゃいけないんだ……」





 その日の夜、千紘と海斗は同じ夢を見た。

声を出そうにも出ない。体を動かそうにも動かせない。

そんな状況で暗い道を歩いていた。


「これは……あの日……?」


 ただただ、不安が大きくなりびくびくしているが、足を止める事は出来ない。

突然目の前に誰かが歩いている後ろ姿が見えた。


 そして声にならない声で叫ぶ。

「だめ! 行かないで! そっちに行っちゃだめ!!」



 突然現れたのは、あの思い出の石だった。

その後ろ姿はその石の前に立っている。


 必死に走って駆け寄ろうとした。

でも、いくら走っても走っても身体は動いてくれなかった。


 もがいてもがいて、進めない道をかき分けるように両手を動かそうとした。

まるで水の中を走っているかのごとく、身体は重く思い通りにならなかった。



 すると突然場面が変わり、またあの横断歩道が現れる。

はっと息をのんだ瞬間、大きな衝突音が聞こえ、世界は真っ白になった。

お読み頂きありがとうございました!!!→つづく


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