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第29話 ループへの決意

こんにちは。

頭の中の物語を文字にしてみます。

ラストにたどり着けるように、不定期ですが更新したいと思っています。


よろしくお願いします。

 海斗は街中を歩いていた。

家に帰る気になれず、ただただ歩き続けていた。


 頭の中ではいろいろな事がぐるぐる回っている。

でも、考えても考えても答えはひとつしかなかった。

「過去に戻るしかない」

そこからは逃れられないのだ。

後は、自分が決断するだけ。



 海斗はどこかで次に戻る時は一人で行こうと思っていた。

きっと次は中学生に戻るだろう。

そこで正樹と会い「過去に戻る方法を見つける」という呪縛から、正樹を救いたい。

そして正樹の最初の後悔の要因である千紘と、もう一度出会わせる。


 それができればきっと状況を変えられると思っていた。

そのためには、現代の千紘ではなく、何も知らない過去の千紘と出会った方が良いはずだ。

たとえそれが、自分と千紘とのつながりが消えてしまう結果になったとしても……



 ふと見上げると、ビルの壁面に設置されたビジョンからオリンピックのニュースが流れていた。

インタビューを受けている選手の顔を見て、海斗ははっとする。

「中村だ……」

中村は陸上トラック競技の代表として、試合に出場していた。


 海斗は監督が言っていた言葉を思い出す。

「あの時、海斗が中村に声をかけてくれてなかったら、今の中村はなかったと思ってる」



 海斗は拳を握りしめた。

大丈夫。ほんの些細なきっかけでも、人は、未来は、明るい方へと足を向けることができる。

海斗はスマホを取り出し、千紘の連絡先を押していた。





 千紘は石の前に立っていた。

「海斗さんに連絡しよう」

そう思ってスマホを取り出す。

……と、同時に海斗からの着信が表示された。


 千紘は慌てて電話に出る。

「もしもし!」

海斗は少し驚いた声で「呼び出し音が鳴らずに千紘の声がしたからびっくりした!」と言ってから笑った。

千紘は海斗の笑い声を聞き少しほっとした自分に気がついた。


「よかったです。海斗さんの笑い声が聞けて……」

千紘がそう言うと、海斗は「そっか……」と安心した声を出した。

「ちょうど今、連絡しようと思ってた所だったんです」

「どうしたの?」


 一旦息を吸ってから千紘が言った。

「私……過去に戻ろうと思います」

その言葉を聞き、海斗も返事をする。

「うん。俺もそう言おうと思ってた」



「今どこにいるの?」と海斗が聞いた。

「石の前に立ってます」

「じゃあ、俺も今から行くから。待ってて」

海斗の言葉に力がこもる。

千紘もはっきりした声で「はい」と答えた。





 千紘と海斗は石の前で向かい合って立っていた。

もう辺りは暗くなり、人通りは少なくなっている。


「本当は……」と海斗が口を開いた。

「今回は、一人で行こうと思ってたんだ。正樹に会って、『過去に戻る』事をやめさせる。そして、正樹と千紘をもう一度会わせようと思って……」

海斗がそこまで話したところで千紘が声を出した。

「嫌です!」

「千紘……?」

「海斗さんが一人で行くなんて、嫌です……」

「でも、それが一番、正樹にとっては良いんじゃないかと思って……」

「海斗さんが一人で過去を変えても、マサくんと私がまた元通りに戻れる保証はありません。そして海斗さんと私は未来で出会えなくなっているかも知れない。海斗さんの記憶が、私から消えてしまうかも知れない……それはマサくんが望んだことではないはずです」

千紘は目に涙をいっぱいに溜めながら続けた。


「私は変わりたい。もっと強くなりたい。このループは、私から始めたものです。私も一緒に行きます」

千紘の言葉を聞き、海斗はしばらく考え込むように黙っていた。


 そしてふっと笑ってから言った。

「わかった。一緒に行こう。それと……」

海斗は千紘の涙をそっと手で拭って言った。

「千紘はもう十分に強い。ちゃんと自分の考えをもっていて、力強く生きている。自信をもって前に進んでいるんだよ」


 千紘は顔をあげて笑顔になり「はい!」と言った。





 千紘と海斗は手を握って石の前に立った。

「次に会うのは中学生かな」海斗が笑いながら言う。

「会うのを楽しみにしてます」千紘も一緒になって笑う。


「マサくんを救うために……」千紘が手を伸ばす。

「出発だ!」


 千紘の伸ばした手の上に海斗が手を重ねる。

そして二人は一緒に石に触れた。

一瞬にして突風が吹き、二人はその渦に飲み込まれていった。

お読み頂きありがとうございました!!!→つづく


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