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第23話 再会を誓って 海斗のループ:高校1年生

こんにちは。

頭の中の物語を文字にしてみます。

ラストにたどり着けるように、不定期ですが更新したいと思っています。


よろしくお願いします。


※海斗も少しずつ成長する様子を出せたらと思って書きました。

~2021年8月27日~


 千紘と海斗はマサくんが消えた場所を見つめながら立ち尽くしていた。


 やっと千紘が口を開く。

「やっぱり……人生で最初の後悔、ここにたどり着かないといけないってことですよね?」

海斗はしばらく考えてから答えた。

「『人生で最初の後悔にたどり着くまでループは終わらない』って前に正樹に言われたんだよね? やっぱりそうなんじゃないかな。そして、正樹はそこにたどり着いたってことか……」

千紘が首をかしげながら聞く。

「でも、そこで待ってるって、どういう意味でしょうか? マサくんの身体は、ずっと過去にいるってことですか?!」


 二人はまた沈黙した。

ループする以外にも、マサくんには何か秘密があるのだろうか。

千紘は頭が混乱してきていた。


 海斗が、「とりあえず」と千紘の目を見て言った。

「その正樹が言う、最初の後悔の日に俺たちも行けるのかはわからない。あと何回でそこにたどり着くのかもわからない。それでも、また行くべきだと、俺は思うよ」


 千紘も頷く。

「そうですね。あと……」

千紘は考えながら話を続けた。

「次に戻るのが何歳かは全くわからないけど、戻った時点で私たち三人が出会ったらどうなるんでしょうか? マサくんは2013年8月27日に私に会いに行くと言って事故に合ってます。という事は、それ以前に私と会えていれば、8月27日に会う理由はなくなるんじゃないでしょうか」


 海斗も力強く頷いた。

「そうだね。試す価値はあると思うよ。次の過去では必ずここで落ち合うようにしよう。たぶん正樹を連れて来られるのは俺だから、何日かかっても必ずここに来るから……」

「はい……待ってます」



 しばらくして、千紘は突然ふふっと笑った。

「え? どうしたの??」

海斗は真面目な顔から急に笑い出した千紘を不思議そうに見る。


「だって、次会う時は中学生? 高校生? 海斗さんの学生時代の姿が見られるのは貴重だなと思って……マサくんの事で頭がいっぱいだったけど、そういえば海斗さんの高校のジャージ姿かっこよかったなって思い出して……」

海斗は「えっ? そう?」と照れてから

「あーでも確かに、千紘の女子高生姿をもっと良く見ておけばよかったな~!」と言ってあははと笑った。



 そして海斗は「これだけは先に言っておくね」と、千紘の手をぎゅっと握って言った。

「千紘と一緒にいると、がんばれる。勇気がでる。出会えて良かった」

千紘は海斗の言葉に自分の顔が真っ赤になるのがわかった。

そしてその真っ赤な顔で海斗の目を見て言った。

「私も、海斗さんと出会えて良かった」



「じゃあ、準備はいい?」

「はい!」


 過去でマサくんに再会するため、二人は再び石に触れた。





~2011年9月2日~


「ったく。なんで一年がレギュラー候補なんだよ」

「ほんとやってらんねーよな」


 会話が耳に届き、海斗は顔を上げる。

ここは…高校の部室だ。

ボヤいているのは先輩か?


 ふと周りを見回すと、下を向いて黙々と着替えをする顔が見える。

「あっ! 中村に田中……という事は、今は高一か……」

海斗は懐かしい顔ぶれを見つめていた。


 と、突然大きな声が耳元で聞こえた。

「佐々木! さっさと準備しろ!」

「はい」

海斗は慌てて着替えを済ませ、他の一年生と共にグラウンドへ荷物を運んだ。



 海斗は思い出していた。

この年、一年の中村が次の大会のレギュラーに選ばれたのだ。

それを妬んだ先輩は、ことあるごとに中村を目の敵にしていた。

結局、中村はプレッシャーで大会当日、レースのペース配分を誤り、途中棄権というチームにとっても大ダメージを与える結果を招いてしまう。



 海斗は当時、その様子を見ても何もしなかった。当然、海斗自身にも中村に対する妬ましい気持ちもあったし、先輩に何か反論することも許されない環境だった。

そしてその時の海斗は、中村の気持ちを考える、という事自体ができなかった。


 でも今ならわかる。「きっと中村は辛かったんだろうな……」と。





 練習が終わり、なんとなくみんな中村に声をかけるのを躊躇ためらわれ、静かに帰って行く。

寮生活をしている中村は一人帰る準備をしていた。


 海斗は中村に声をかけた。

「中村……レギュラーおめでとう! がんばってたもんな。」

突然声をかけられ、中村は驚いた顔で海斗を見る。

「う、うん……」


「ここにいる皆はさ、陸上で高校に入って、生活のほとんどを練習で過ごして、頑張って努力してるすごい奴らなんだよな。それでもレギュラーになって大会に出られるのは一握りだけ。だから、後輩に抜かされて悔しい思いをする人たちがいるのもわかるよ」


「……」中村は黙っていた。


「でもね。中村はそんなすごい奴らの中から、努力と実力でレギュラーを獲得した。これは本当なんだから、誰に何言われても気持ちで負けんなよ! 何も気負う事なんてない。自分の力を信じて走ればいい。それに、結局はみんな同じチームなんだから、最後は応援してくれるよ!」


 海斗はそう言うと、ぽんっと中村の肩を叩き、部室の扉を開けた。

すると目の前に監督が立っていた。


 監督は笑顔で「佐々木。ありがとうな」と小さく言った。

海斗は監督にお辞儀をして「失礼します」と言うと足早に学校を出る。



 海斗は「次は、正樹だ!」そうつぶやいた。

お読み頂きありがとうございました!!!→つづく


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