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第15話 決意

こんにちは。

頭の中の物語を文字にしてみます。

ラストにたどり着けるように、不定期ですが更新したいと思っています。


よろしくお願いします。


※決意表明の話です。

「マサくんは過去に戻る方法を、見つけたんだと思います」


 千紘のその言葉に、海斗は絶句した。

しばらく沈黙が続いた後、海斗が言った。


「そんな事……ある?」

千紘は静かに頷いた。



「私、佐々木さんに話していない事があります。おかしな人だって思われるんじゃないかと思って言わなかったんですけど……もう私だけじゃなく、佐々木さんもこの渦に巻き込まれている。一緒にマサくんを助け出してもらえませんか?」


 千紘のまっすぐな目を見て、海斗は一瞬逡巡する。


 それでもすべてを飲み込んで頷いた。

「俺に出来ることは、協力するよ」





 千紘と海斗は駅まで戻り、ファミレスに入った。

休日のファミレスは、学生グループや家族連れで賑わっている。

さっきまで音のないマサくんの家にいた千紘は、この騒がしさにほっとしていた。



 千紘は順を追って海斗に説明をした。


 思い出の石を触って、突然ループが始まったこと。

染田に出会い、ループの仕組みを知ったこと。

「人生で最初の後悔にたどり着くまで、ループは終わらない」と言われたこと。

染田は「何度過去を変えても最終的な結果は変わらない」と思い悩んでいたこと。



「実は今の私は三回目のループの未来にいます」

千紘の言葉に、海斗が「え……」と言葉を漏らす。


「本当の私は営業部の派遣社員で営業事務をしていました。佐々木さんと話をした事は一度もありません。毎日、部長に文句を言われながらただ仕事をこなす毎日を過ごしていたんです。

それが二度のループで、あなたと挨拶をして言葉を交わすようになった。そして三度目のループが、総務で仕事をしている今です」


 海斗は戸惑いながら言った。

「じゃあ、えっと……その思い出の石に触ると過去に戻る。でも戻る過去は『自分が後悔した日』であって、はっきりした日付はわかっていない。そこで選択を迫られて、どちらかを選ぶと未来に戻って来る……そして未来は過去の選択で変化するってこと……だよね?」

千紘は頷いた。

「そうです!」



 海斗は頭をかいて言った。

「いや。信じられないけど、本当の事なんだよね。それにしても……この条件で過去に戻って、正樹を探して助けるってなると、かなり難易度が高いよね……」

千紘も頷く。

「そうなんです。今までの三回のループは、私がすぐに選択したからなのか、過去にいられる時間がすごく短いんです。選択を迫られた場合に、決断せずに、選択を保留にして過去で動かなきゃいけないということです……」

千紘はそこまで一気に話し、はぁと息をはいた。



「ねえ。ちなみに俺が一緒にループに入れたとして、同じ日に戻れるの?」

「え?! わ、わかりません……そうか、それも考えなきゃいけないんですね……」

「そうだよ! お互い別の次元で過去を変えても、それがどう未来に影響するか、余計予想がつかないよね」


 海斗の会社では見せない怖い顔を見て、千紘は思わずぷっと吹き出した。

「え?! なに?!」海斗はさらに不機嫌な顔になる。



「ごめんなさい。だって。こんな漫画みたいな話、真剣にしてる姿がおかしくなっちゃって。佐々木さん会社ではいつも笑顔でにこやかだから。全然違うんですもん」

笑いながら話す千紘につられて、海斗も笑いだした。

「もう、海斗でいいよ。俺も千紘って呼ぶから。これがきっと俺の素なんだよ。ほんと、正樹を救う勇者御一行だな~」

伸びをしながら言う海斗に、千紘はあははと笑って言った。

「ご飯、食べちゃいましょ! それからまた作戦会議です!」

「よし!」


 千紘は少し冷めたハンバーグを食べながら、海斗の勇者姿を想像して、またぷっと笑った。





「そういえばさ」とコーヒーを飲んでいた海斗が話し出す。

「俺もひとつ話してない事があるだよね」


「え?」と千紘は海斗を見つめた。


「高校二年の時、急に正樹が会いに来たんだ。そしてこの紙を俺に渡して言った。『いつか僕がいなくなる時が来たら、この子の事を見守ってあげて欲しい』って」


 千紘は差し出された古くてぼろぼろになった紙を広げる。

そこには千紘の名前と住所が書かれていた。


「どういう事ですか?!」驚いて顔を上げる千紘に、海斗が言った。

「もしかしたら、俺の知っているこの過去は、正樹が過去に戻って変えたものなのかもしれない。俺と千紘をつなぐために」


「そんな……」千紘は言葉に詰まっていた。

「だから、千紘が俺の事を知らない内から、俺は千紘の事を見てたんだよ。時々ね」



 海斗の言葉を聞きながら、千紘は「あ……」と思い出す。

そうだ、一回目のループで名刺入れを拾った時、海斗は自分の名前を知っていた。

そして二回目のループの時の「いつも、ちゃんと見てるから」という言葉、三回目のループの時の「君、頑張ってるんだね」という言葉。



「そうなんですね。海斗さんが今まで私にかけてくれた言葉は、全部マサくんに繋がってたんですね」

そうつぶやく千紘の顔を、海斗は静かに見つめている。



 千紘は顔を上げて言った。


「明日。過去に戻りましょう」

お読み頂きありがとうございました!!!→つづく


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