第13話 つながる糸
こんにちは。
頭の中の物語を文字にしてみます。
ラストにたどり着けるように、不定期ですが更新したいと思っています。
よろしくお願いします。
※少しずつ物語が進みます。
「えっと……どうしたんですか?」
千紘は海斗の様子が気になって声をかけた。
海斗はしばらく黙り込んで何かを考えている様子だった。
そして決心したかのように千紘をまっすぐに見つめて言った。
「少しだけ、話できるかな?」
千紘は戸惑いながらも、「はい」と頷いた。
◆
二人で駅前のカフェに入った。
ランチまでは少し時間がある午前中のカフェは、人もまばらで休日のゆったりとした時間が流れていた。
コーヒーの香りにほっとしながら千紘は海斗の顔を見る。
(こんなに真正面から佐々木さんの顔を見るなんて……どきどきしちゃうな……)
そんな事を思っていると、海斗が口を開いた。
「野村さんが今日会いに来た子って、名前聞いても良いかな?」
「え?」と千紘は戸惑う。こんなに人の多い街で名前を言っても知り合いな訳はないよね、と思っていた。
海斗は「あ、ごめん。俺、ここが地元なんだ。この前、俺と同じ高校に通ってる子だって言ってたから……。って、怪しいよね」と慌てて言う。
千紘はあははと笑いながら
「いえいえ。実は、ものすごく不思議な話なんですけど。私もその子の名前は苗字しか知らないんです。私の家の近くに立ってる所を見て、話をするようになって。ちょっと変わった子で」と言った。
そして少し考えてから続けた。
「でも、苗字が幼馴染と一緒だったんです。立っていた場所も幼馴染との思い出の場所だった。そしてその子は何かにものすごく悩んでいて……放っておけない感じだったんです。でも……」
「でも?」と海斗が聞く。
「でも……目の前で消えてしまった……」
千紘の言葉に海斗が息をのむのがわかった。
千紘はループの事を話すかどうか迷っていた。
目の前で、染田が消えた話だっておかしな話なのに、その上過去にループしたなんて話をしたら海斗は千紘をどんな風に思うだろう。
しばらく下を向いていると海斗が話し出した。
「俺はね、中学の頃に公園で知り合った友達がいたんだ。すごく不思議な子だったよ。そいつは過去にばかり目を向けてた。でも話をするうちにだんだん前向きになって、同じ高校にも入った。でも……ある日、突然消えたんだ……」
「え?!」千紘は同じ「消えた」という言葉にはっとする。
「その友達の名前は、染田 正樹……」
「染田……? 正樹……? もしかして、マサくん?!」
千紘は思わず両手で口元を押さえる。
海斗は千紘の様子を見ながらゆっくりと続けた。
「正樹は出会った頃から言っていたんだ。過去にものすごく後悔した事があるって。だから過去に戻る方法を考えてるって。消えた事がそれと関係しているのかはわからない。だって現実的にはあり得ない話だからね」
「でもあの日、何があったのか誰に聞いてもわからないんだ……。俺は正樹の家を知らない。野村さんが行こうとしている場所が正樹の家なんだったら、俺も一緒に行ってもいいかな? ずっと正樹の事を探してるんだ……」
千紘は下を向いたままじっと考えていた。
(マサくんが過去に戻る方法を探していた?!)
千紘はあの石に触れることによって過去へのループに入った。
そして染田からそのループの事を教えられ、そして「後悔」というキーワードを聞いた。
「染田くんは、マサくんだった?!」
もし仮に染田がマサくんだったとして、なぜ高校生の姿だったのか……
高校時代に姿を消したことと関係しているのか?
千紘は頭の中がぐるぐるとして訳がわからなくなっていた。
それでも海斗に向かって頷いた。
「私が出会った高校生の子は染田と名乗りました。佐々木さんの話を聞く限り、その子はマサくんと関係があると思います。正直わからない事だらけだけど……一緒に、マサくんの家に行って確かめてみましょう」
◆
千紘は海斗と共に、年賀状の住所を頼りにマサくんの家を探した。
バス停から一本道を入ると静かな住宅街になった。
大きな家が綺麗に立ち並ぶその様は、いわゆる整備された閑静な住宅街という印象だった。
ただどの家も最近建てられた家ではなく、ひと昔前に新築であったであろう家ばかりだった。
「ここだ……」
千紘はマサくんの家を見つけた。
マサくんの家も他の住宅と同じく、大きく立派な造りをしていた。
ただ、どこか静かすぎて寂しさを感じさせた。
千紘は一旦海斗を振り返り、頷いてからインターホンを押した。
しばらくしてから「はい……」という女性の声が聞こえる。
千紘はゆっくりと話す。
「私、昔、染田さんの隣に住んでいた野村千紘と申します。突然伺って申し訳ありません。マサくんにお会いしたいのですか、今いらっしゃいますか?」
「……?!」
インターホンの向こうではっとする息づかいが聞こえた。
スピーカーの切れる音が聞こえ、どれだけ時間が経っただろうか。
ゆっくりと玄関の扉が開き、マサくんの母親が顔を出した。
千紘は(あぁ。覚えてる。マサくんのお母さんだ)と思っていた。
マサくんの母親は、千紘が想像していた印象よりもかなり歳をとり、やつれて見えた。
「ちーちゃん?!」
そう呼ばれて、千紘は笑顔で答えた。
「はい! お久しぶりです!」
お読み頂きありがとうございました!!!→つづく
「面白い」「続きが読みたい」と思って頂けた方は、ぜひブックマーク、下の評価をお願いします!
最終話まで書き続けるモチベーションアップにつながります!
応援よろしくお願いします!




