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第13話 つながる糸

こんにちは。

頭の中の物語を文字にしてみます。

ラストにたどり着けるように、不定期ですが更新したいと思っています。


よろしくお願いします。


※少しずつ物語が進みます。

「えっと……どうしたんですか?」

千紘は海斗の様子が気になって声をかけた。


 海斗はしばらく黙り込んで何かを考えている様子だった。

そして決心したかのように千紘をまっすぐに見つめて言った。


「少しだけ、話できるかな?」


 千紘は戸惑いながらも、「はい」と頷いた。





 二人で駅前のカフェに入った。

ランチまでは少し時間がある午前中のカフェは、人もまばらで休日のゆったりとした時間が流れていた。

コーヒーの香りにほっとしながら千紘は海斗の顔を見る。


(こんなに真正面から佐々木さんの顔を見るなんて……どきどきしちゃうな……)

そんな事を思っていると、海斗が口を開いた。



「野村さんが今日会いに来た子って、名前聞いても良いかな?」

「え?」と千紘は戸惑う。こんなに人の多い街で名前を言っても知り合いな訳はないよね、と思っていた。

海斗は「あ、ごめん。俺、ここが地元なんだ。この前、俺と同じ高校に通ってる子だって言ってたから……。って、怪しいよね」と慌てて言う。



 千紘はあははと笑いながら

「いえいえ。実は、ものすごく不思議な話なんですけど。私もその子の名前は苗字しか知らないんです。私の家の近くに立ってる所を見て、話をするようになって。ちょっと変わった子で」と言った。


 そして少し考えてから続けた。

「でも、苗字が幼馴染と一緒だったんです。立っていた場所も幼馴染との思い出の場所だった。そしてその子は何かにものすごく悩んでいて……放っておけない感じだったんです。でも……」

「でも?」と海斗が聞く。


「でも……目の前で消えてしまった……」

千紘の言葉に海斗が息をのむのがわかった。



 千紘はループの事を話すかどうか迷っていた。

目の前で、染田が消えた話だっておかしな話なのに、その上過去にループしたなんて話をしたら海斗は千紘をどんな風に思うだろう。



 しばらく下を向いていると海斗が話し出した。

「俺はね、中学の頃に公園で知り合った友達がいたんだ。すごく不思議な子だったよ。そいつは過去にばかり目を向けてた。でも話をするうちにだんだん前向きになって、同じ高校にも入った。でも……ある日、突然消えたんだ……」

「え?!」千紘は同じ「消えた」という言葉にはっとする。


「その友達の名前は、染田 正樹(そめだ まさき)……」

「染田……? 正樹……? もしかして、マサくん?!」

千紘は思わず両手で口元を押さえる。



 海斗は千紘の様子を見ながらゆっくりと続けた。

「正樹は出会った頃から言っていたんだ。過去にものすごく後悔した事があるって。だから過去に戻る方法を考えてるって。消えた事がそれと関係しているのかはわからない。だって現実的にはあり得ない話だからね」


「でもあの日、何があったのか誰に聞いてもわからないんだ……。俺は正樹の家を知らない。野村さんが行こうとしている場所が正樹の家なんだったら、俺も一緒に行ってもいいかな? ずっと正樹の事を探してるんだ……」



 千紘は下を向いたままじっと考えていた。

(マサくんが過去に戻る方法を探していた?!)

千紘はあの石に触れることによって過去へのループに入った。

そして染田からそのループの事を教えられ、そして「後悔」というキーワードを聞いた。


「染田くんは、マサくんだった?!」


 もし仮に染田がマサくんだったとして、なぜ高校生の姿だったのか……

高校時代に姿を消したことと関係しているのか?

千紘は頭の中がぐるぐるとして訳がわからなくなっていた。



 それでも海斗に向かって頷いた。

「私が出会った高校生の子は染田と名乗りました。佐々木さんの話を聞く限り、その子はマサくんと関係があると思います。正直わからない事だらけだけど……一緒に、マサくんの家に行って確かめてみましょう」





 千紘は海斗と共に、年賀状の住所を頼りにマサくんの家を探した。

バス停から一本道を入ると静かな住宅街になった。


 大きな家が綺麗に立ち並ぶその様は、いわゆる整備された閑静な住宅街という印象だった。

ただどの家も最近建てられた家ではなく、ひと昔前に新築であったであろう家ばかりだった。



「ここだ……」

千紘はマサくんの家を見つけた。

マサくんの家も他の住宅と同じく、大きく立派な造りをしていた。

ただ、どこか静かすぎて寂しさを感じさせた。



 千紘は一旦海斗を振り返り、頷いてからインターホンを押した。

しばらくしてから「はい……」という女性の声が聞こえる。


 千紘はゆっくりと話す。

「私、昔、染田さんの隣に住んでいた野村千紘と申します。突然伺って申し訳ありません。マサくんにお会いしたいのですか、今いらっしゃいますか?」

「……?!」

インターホンの向こうではっとする息づかいが聞こえた。



 スピーカーの切れる音が聞こえ、どれだけ時間が経っただろうか。

ゆっくりと玄関の扉が開き、マサくんの母親が顔を出した。


 千紘は(あぁ。覚えてる。マサくんのお母さんだ)と思っていた。

マサくんの母親は、千紘が想像していた印象よりもかなり歳をとり、やつれて見えた。


「ちーちゃん?!」

そう呼ばれて、千紘は笑顔で答えた。

「はい! お久しぶりです!」

お読み頂きありがとうございました!!!→つづく


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