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火傷火に懲りました

 私はあの絵をリビングに飾った。共有リビングにね。

「毒々しい現代アートだな。誰の絵?有名なひと?」

あこが腕組みして言うの。

「わたし」

あこは声にせず え? と口を開いてみせた。


 ある週末、初バーベキューをしましょうとなりました。

「俺肉買ってくるわ」

あら勝手に般若は出発しました。バーベキューは異常なほど好きな般若。いつかあなたを焼いて煮て.....やる。


 残る旦那様は炭や飲み物、野菜を買いに。私達も同行してみんなで和気あいあいスーパーへ。

悟さんは子供達の子守をかって出てくれたの。

戻るとそこには6人相手にケラケラ笑いながらゾンビごっこする悟さん.....頑張ってる彼が可愛く見えてしまいました。他の奥方も微笑ましくみています。


 みのりが火をつけようと炭を積んで.....

「みのり、火起こしは男性陣に任せて」と声をかけるも

「火起こししたくてしゃーなくなるのよね。火の神でもついてんのかな」

みのりはアウトドアが得意で、家族でキャンプ行ったり山登ったり。うちには無縁の楽しみを知っている人。うちがキャンプなんて行けば、どちらかは帰らぬ人となりそうです。


 私は無言で般若にトングと肉を渡します。

般若は途中途中で、話に夢中。またうざい内容の話.... .。

「いやぁいいね。バーベキューは。普段ろくなもん食べてないから痩せてきてさ。」

「綾、ちゃんと料理するでしょう?」

かずぴがつっこんだが

「なんか草食メニューなんだよな、しかも俺のは残飯みたいに鍋にほったらかされてるし」

う゛それ言いますか。仕方がないわね本当だもの。聞いてる奥方達は笑ってるようでした。


 あ、肉が....私は焦げかけの豚肉をトングで皿に移そうとつまんだら油が手に勢いよく跳ね上がってベタッとついた。

「あ゛つっ!」誰よこんなギトギトの肉買ったの。

「大丈夫?!」かずぴがビックリするも般若は

「天ぷらじゃないんだから、大丈夫だろ」と座った椅子から立ちもしない。


「冷やすぞ」

勢いよく来た悟さんが私の手を引いてリビングへ。蛇口を冷たくして流水を当てる。

「馬油か薬ある?あるなら塗ったほうがいい」

「ありがとう。大丈夫。後は自分でするから」

悟さんはため息を付き、可愛そうなものを見るような目をした。


 そういえば少し前のこと、前のマンションで勢いよく自分で閉めた窓に指を挟んで絶叫した般若に、私は遠くから

「何ー?」

「痛っー!思いっきり指挟んだ」

「冷やせばー」

そう言って、保冷剤にタオル巻いたものをテーブルにどんっと置いた。

全くどうでも良かったの、けがの具合を見もせずに保冷剤をだしただけ。自己防衛のため。私フォローしましたよ?みたいな。


それとおんなじね。


 屋上に戻った私達に般若が

「おおげさだな〜」

と呟いた。私はいつもの小言に慣れてるから知らんぷり。

「おまえ、ちょっとは人を思いやれ。捨てられるぞ」

悟さんだ....。

「なんだよ。やけどくらいで。」


 人は人に期待するから、期待と違った答えが見えたらショックを受ける、悲しくなるの。

だからいつからか、私は般若に期待をしなくなったわ。期待しなければ、思わぬ時に喜びか感謝を感じるかと思ったけど、ただ無関心になってしまったわ。

期待を止めたら人は無関心になるみたい。


 般若は大食い。他の人を気遣うどころか、どんどん食べる。早いもの勝ち精神。弱肉強食だ!と言いながら。

カイの分すら残さないの。

食べ物の恨みは怖いと昔から言うわよね。

「早く!食べないと全部食べられちゃうよ」

子供達に必死で分けるわたし.....。


 ゆりの息子 トウマ君が

「カイのパパ、怪獣みたい。汚いし。」

汚い.....そう。食べ方が汚いの。クチャクチャ音を出し、よくこぼし、寄せ箸するわ 食器箸でたたくわ。見ていて不快な生き物。

義母は子育てはただ野放しにしていたよう。まっ持って生まれたものでしょうか。でも結婚前はこんなに汚かったかしら。恋は盲目?いえ、食べ方すら本性を現したのでしょう。

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