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04 スパイ
奴隷に優しくする貴族の行いが気にくわないという者達は、かなり大勢いた。
ある日、私はそんな連中の一人に声をかけられる事になった。
なぜ選ばれたのかわからないが、私があの屋敷の者達とうちとけてなかったのが関係しているのかもしれない。
ともあれ、目をつけられてしまったら、もう終わり。
あくどい顔をした貴族に偉そうに命令された私に、拒否権などなかった。
その日からスパイをする事にした。
不正の事実や、大っぴらにはできないやましい事を探ってこいと言われた。
ちょうどいい。
予定通り。
だから私は復讐のために、その貴族に利用されることにした。
けれど、あの優しいご主人様は、真面目だったらしい。
調べても調べても不正の証拠がでてこない。
だから諦めて方針転換。
濡れ衣を着せることにした。
ありもしない罪をでっちあげ、証拠品をあの人の部屋に残した。
密告から取り調べが始まり、そしてその証拠品が見つかる。
結果、優しいご主人様は、牢屋に入れられた。
ここまでやってやっと復讐ができた。