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03 幸福を受け入れない
少女は幸せだった。
それなりに。
でも、少女はその幸福を受け入れない事にした。
復讐だけを心のよりどころにして、過ごしていた。
幸せそうな元奴隷の同僚の姿も目に入れない。
幸せな未来予想も、将来の空想しない。
同僚との会話中でも、笑わない。気を許さない。弱みを見せない。
ただ、心を閉じて、ひたすら復讐だけを考えて、生きてきた。息をしてきた。
勤労のプレゼントも、貰ったが捨てた。
労いの言葉をかけられたが、すぐに忘れた。
将来の事を聞かれたが、何も語らなかった。騙る事もしなかった。
そんな少女に、チャンスがやってきた。