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01 奴隷商に売られた少女
彼女は奴隷だ。
両親に売られて、奴隷商人に鎖をつけられ、物の様に扱われてきた。
奴隷の辿る道など、不幸になる道以外には存在しない。
ぼろ雑巾のように扱われて、ごみのように捨てられるだけ。
そこに人間としての尊厳が残るはずもない。
まともな生き方が望めるはずもない。
ただ、みじめに死んでいくだけなのだ。
けれど、彼女は諦めていなかった。
貧しい家庭で育った彼女は、富めるものを恨んでいた。
だから、奴隷商人が自分を貴族に売った時は、復讐をすると胸に誓ったのだった。