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そう言うと、男は姿を消した。


それと同時に、俺の意識も消えた。



気がつけば朝になっていた。


普段眠りの浅い俺が、こんなにもじっくり寝たのは久しぶりのことだ。


――これがあの幽霊の言った、ささやかなお返しなのだろうか?


そう思いながら俺は出社した。


社に着くと、あの糞上司がまだ来ていなかった。


――珍しいこともあるもんだ。


いつもなら誰よりも早く会社に来て、あとからやって来る者全員に嫌味を言うのだが。


あいつがいないおかげで俺はもちろんのこと、もう一人の営業マンと事務の女子社員も、いつになく生き生きしていた。


誰も、なんでやってこないんだろうとか、なにかあったのだろうかとか、心配をする者はいなかった。


みんなあんなやつは死んでしまえばいいと思っていたからだ。


そしてお昼前、もう一人の営業マンが出払って、俺が女子社員と楽しくおしゃべりをしていると、上司がやって来た。


それを見て俺は驚いた。


なにせ上司の背中に、あの幽霊がしがみついていたのだから。


しかし女子社員の反応を見る限り、彼女には幽霊は見えていないようだ。


見えていたら、普通に「おはようございます」とは言わないはずだ。


俺だけに見えるらしい。


上司は憔悴しきった顔をしていた。


この人は明日死ぬ、と言われたら無条件で信じてしまうほどに。


幽霊は俺の顔を見てにっこりと微笑むと、ピースサインをした。



      終

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