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そんなにひどい?

「まあ、痛そう。辛いでしょう?」

娘の莉乃ケガで病院に行った時のこと。書類の記入をしている時に受付の人の言葉に顔をあげると、彼女は娘の方ではなく、私の手を見ていた。

病院という事でマスクをしていたため、口の回りのカサブタには気づかれなかったが、受付の彼女は手だけを見て痛々しそうに言っていたのだ。

アトピーだと一言だけ言うと、それ以上は言われなかったが、彼女の目はずっと私の手を見ていた。

「そんなにひどい?見慣れちゃったからわかんないんだよね。」

受付を済ませて待合室のソファーに座ってから莉乃に聞いてみる。

「んー。どうだろう。私も見慣れちゃったかも。」

慣れとは怖いものである。まだ中学生の莉乃の肌は比べ物にならないぐらいきれいだが、主婦は多少は手荒れしている場合が多いので、こんなものだろうという意識だった。確かに普通の健康な肌の状態ではないことは間違いないが、もうカサブタに覆われているほどでもないし、浸出液も治まっているので、そんなに反応を示されるとは思っていなかった。

そういえば、つい先日、正月に親戚の集まりの時にも「ちょっと、その手どうしたの?」なんて言われたな。

ピークのことを思えば大したことはないが、普通の肌の状態に比べると、まだ「ひどい」状態のようだ。

莉乃にしても私の手荒れがもともとひどかったせいで、こんなものだろうという意識だったのか、ピークの時を彼女も見ているので、「ずいぶん良くなってきた」という意識なのかは不明だが、どちらにしてもピーク時以上健康肌未満なのは間違いない。

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