「病院に行きなさい。」と言う人たち。
薫子を除く、私のまわりの人たちすべてが病院に行けと言うわけではないが、正直、今は言われるだけでもストレスだ。
まず、実家。バレると厄介なので言わないでいたが、梨乃が遊びに行った時に話してしまった。まあ、口止めしていなかったから仕方ないんだけど。
「手伝って欲しいことがあったら遠慮なく言いなさい。」とは言ってくれるし、煮物などのおかずや、食材を度々届けてくれる。それはとてもありがたいが、どうしても病院に行かせたがっている。「もうステロイドを使いたくないから行かない。自然治療をすることにした。」と話したら、私には何も言わなくなったが、先週は梨乃に向かってぼやいたらしい。
「おばあちゃんね、どうしてもママ(私)が病院に行かないことが納得いかないのよね。」
「ママはもうステロイドが効かないし、アトピーにステロイドは良くないんだよ。」
「でもねえ…。」
などという会話を母と梨乃がしていたとか。梨乃は彼女なりにアトピーについて調べて、私の脱ステロイドに理解を示してくれているので、これで済んだが、もしかしたら梨乃が言いくるめられたかもしれないと思うとゾッとした。
次に友人の凛。彼女は相手に何かを意見したり提案するのが好きなタイプ。
「自然治療なんてしてないでお医者さんに行くことをおすすめします。サポートしてくれているお友達、お医者さんじゃないんでしょ?」
などというメールを送ってくること数回。
「時間はかかるけど、もうステロイドを使いたくないから、そっとしといてくれない?」
と話しても彼女もしぶとい。ある時はこんな電話をしてきた。
「七帆さんがそんな状態なのを見ると涙が出てくるんだもん。ウチの近くにも皮膚科あるよ。そこに行こ?」
そしてまた数日後、突然お見舞いを持ってやってきて言った。
「まだお医者さんに行く気ない?」
そして長年の男友達の一樹。世話好きな性分ではあるが、柔軟な考えの持ち主だ。
「K市のO皮膚科は、話もきちんと聞いてくれるし、脱ステロイドも相談できると思うから行ってみるといいと思うよ。」
「もうしばらくこのまま頑張りたいし、人と話すことが今はストレスになるから、悪いけどそっとしておいてくれない?」
みんながそれぞれ心配してくれているのはわかるけど、私がどうしたいのかということを尊重する以前に「普通はステロイドを塗って治すべき。」という考えが強い。一樹の場合はよほど尊重してくれている印象だが、それでも自然療法を懸念しているようだ。