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痒さと自身の感情と。

指や手の甲が痒い。時には腕も痒い。皮膚は今も象の皮膚。生活面ではかなり通常モードに近づいたものの、まだまだ時間が必要と思われる。

そうは言っても何より、痒くて掻いてしまっても浸出液があふれてくることがなくなったのがありがたい。掻くたびにヒヤヒヤしているが、今のところそういうことはないのがありがたい。具合によっては血がでてりまったりすることもあるが。

痒みの頻度もかなり減っている。何もしなくてもジンジンと痛かった手も、曲げると腫れでつっかえを感じていた腕も過去のことになった。そしてピークのころは、少しでも「ああ、イヤだな」と思うことがあると途端に痒くなっていたが、今はそこまで痒さがやってくることはない。あの頃は、腕がカサブタで突っ張っていて、それもつらかった。よく耐えたな。案外、人って生きていられるものだと思う。

手首はまだ少し腫れているし、指が腫れている日もある。ヒビ割れを刺激しないようにマッサージをするようにつとめる日々。そして私は大きなカオでゴロゴロする。しかし気が向いたときはニトリル手袋をつけて簡単に掃除をすることもある。ただし、今はゴロゴロが優先なので、ありがたくサボらせていただいている。自慢じゃないが、私はタダでは起きない性分なので、こういうところはチャッカリと「いいとこ取り」をさせていただくことにしている。これで楽に過ごせるのであれば、夫の小言は気になるが、好きに過ごすことにしている。

よきサポーターであり、アドバイザーである薫子は私のこの発症当初に「掃除サボっても死にゃあしないよ!」と笑い飛ばした。神経質の代名詞のようだった彼女だが、彼女は彼女でメンタルを幾度か患ったりして生き抜いてきたので、キチンとしている人という意味では変わらないのだが、自身が楽に生きるやり方を模索してきたのだ。

薫子は、昔も今も気遣いのできる人物で、人付き合いも上手だ。学生の頃は男女問わずみんなに好かれていた。そんな彼女と私が仲が良いということを不思議がられたくらいだ。しかし彼女がものすごく思い悩んだ頃に私に言った言葉で印象的な言葉がある。

「私ね、七帆みたいに、なんでも言えることがうらやましいの。もっと思っていることを言えたらこんなに悩まないで良かったかも。」

実に意外だった。私は人付き合いの上手な彼女がうらやましく、また見習わなければと思っていたからだ。私はストレートに言葉をぶつけては敵を増やしてしまうタイプなのだ。正直、私は友達が少ない。うわべだけの付き合いも苦手だ。寂しがりやだが、そのテの付き合いは苦手なのだ。

今の彼女はそこそこにガサツさも覚え、言うべきことは言える。伝え方はもともと上手なほうなので、やはり今でも見習うべき人物である。

自分の中にある枠やこだわりは実はけっこうある。私の今回の不調は、これらの存在に気づいて一つずつ外していく時期であるようだ。また、自分と向き合う時期でもある。こんなことでもなければ私は「これは私のわがままな感情なのだから」と自身の気持ちを無視し続けて、しまいこんでいったと思う。

痒みとともにまだまだ自分の感情と向き合う日々も続行中である。

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