一喜一憂vs.良いご身分
指や手首が相変わらず腫れだかむくみだかわからないが腫れている。
「リンパの流れが悪いからこうして軽くマッサージすると少し楽ですよ。普通はリンパは心臓から外側に流すようにするものですが、この場合は幹部から中心へやるんです。どうですか?少し楽になったでしょう。」
鍼灸師の先生はそう言って腕をマッサージする。優しく撫でるように。ガシガシと刺激するのではなく、あくまでも滞ったリンパ液を流すためなのだ。確かに手首や甲が少し楽になった。
「指先もやるといいんですけど、ひび割れが痛いでしょう?」
「はい。そうですね。」
それからは時間のあるときにひび割れを引っ張らないように指先を軽くマッサージするようにしている。一瞬だが楽になる。こまめにやって行くことで変化が現れるかもしれない。ほんの少しの期待を持って指先をマッサージする。しかし、気を付けないとマッサージをする手もされる手もひび割れを刺激してしまうので度々「痛っ!」となってしまう。
それにしても、ひび割れというヤツは厄介で、割れたところがふさがって来てもまた次々と別のところが割れてくる。
自然療法なので気長に構える覚悟はしていたつもりだが、なかなかスッキリしないので、どうしても時々、落ち込んでしまう。
「あ。キレイになってきているね。」
久しぶりに会った相手のそんな言葉にホッとするときもある。
症状を見ては凹み、周りの言葉にホッとする、そんな一喜一憂の日々。まあ、悪いことばかりでもない。夫から「家が汚い。」と苦言を呈される時もあるが、大嫌いな掃除をサボる大義名分になっているのだから。子供たちも「食卓がさみしい。」と言いながらも黙認してくれている分、横になる時間が取りやすくなっているのだから。
それまでの私は、掃除はもともと熱心ではなかったが、昼寝をしようなどという発想がなく、起きているうちは何かしら手先を使っていた。今年は初夏の梅干し作りも止めた。現在の寒くなり出した時期なら、編み物にいそしんでいるのだが、今年は毛糸を見に行く事すらしていない。好きな色のニットに出会えなかったり、見つけても高い場合は、手芸品店で気に入った色の毛糸を買い、シンプルな型のものを編むのが、私の秋冬の楽しみなのだ。まあ、こんな手では編み物は制作も進まないし、悪化の可能性大なので、昼寝を優先している。
もうしばらく"良いご身分"で過ごす予定である。




