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決めることの怖さ。

、皮膚科に行った。車で約一時間の道のり。痒みと闘いながらの運転。場合によっては10分ほどの運転でも痒くなり、その短時間に患部をかき壊してしまうので、ヒヤヒヤしながらの運転である。

少しは痒くなったが、なんとかかき壊さずに到着し、受付を済ませ、ガランとした待合室のソファーに腰を下ろすと、すぐに呼ばれ、診察室へ。

「確かに乾いてきていますね。もうしばらく抗生物質を服用しましょう。」

「まだ飲まないといけないですか…。でもここまで薬を使わずにやってきたので、できればあまり薬を飲みたくないです。」

「ここまでひどいから、しっかり飲んでおかないと。中耳炎などでは一ヶ月くらい服用する場合もあるし、大丈夫ですよ。」

診察室にいた看護師が言う。なぜかここの皮膚科、前回もそうだったが、診察室にいる看護師のほうが口数が多いが、医師もそれを止めさせようとはしない。看護師のほうが権力を握っているようでますます信用できない。

結果、以前よりは弱い抗生物質と痒み止めをそれぞれ二週間分という処方内容だった。


薫子にも相談した。想定した返事だった。

「たぶんそこの皮膚科には実際に脱ステロイドの人はほとんど来てないだろうから、その状態を見慣れていなくて“ひどい状態”と言うのは仕方ないと思う。」

そうだな。納得。患者さん、すごく少ないし、同じような人に遭遇していない。

「七帆がそういう事実や言われたことを支えにして薬でなんとかしたいなら、したらいい。」

薫子は、ステロイドばかりでなく、抗生物質も使わないことにしている。病院では最近は診断だけ受けて、薬は必要ないからと処方箋すら書いてもらわないことにしているんだとか。病院側もそれを承知していて、処方箋を書かないというスタイルが出来上がっているらしい。


自分で決めれば良い。しかし決めるのは自分。自分で決めるのは怖い。私はまだ、場合によっては薬の力に頼ることは必要だと考えている。子供のころから薬を使うことは普通のこととして生きてきた場合、薬に頼らないというスタイルに変えてしまうのは、そう簡単ではない。薫子も現在の、エッセンシャルオイルで人間本来が持っている自然治癒力を引き出して治す、というスタイルに完全に変えてしまうまでに数年を要したのだと、何かのときに言っていたのを思い出した。

彼女は第一子が水疱瘡にかかった時も診断だけ受けて、ラベンダーオイルを塗布して治したそうだ。

果たして、私にそこまでの切り替えが出来るのだろうか?私自身はもう滅多に薬を使わずに過ごしているが、家族はエッセンシャルオイルは香りがあるからと嫌がっていて、薬を普通に使うスタイルのままなので、切り替えができても家族の中では私だけかもしれない。


カサブタと浸出液と引っかき傷だらけの腕を見て、またため息が出た。

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