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病院ヘ。

「これはひどいよ!一度、病院に行かないと!」

単身赴任中の夫が帰省してきた時の第一声。写真を送信するなどして症状は知らせてあったが、直接見るのは、この時が初めてだった。そして、私はきちんと皮膚科で診断を受けていなかったことがバレてしまい、アトピーか、また別の病気なのか医師の診断を受けるべき、とも言われた。確かに病名を医師という名のもとに判断されていないことに対する不安は私にもあった。しかし、それ以上に恐れていたのは、ステロイドを強制的に使用されることだった。夫はその点に関しては理解を示してくれ、脱ステロイドを謳っている皮膚科をネットで探してきた。しかし、そんなに近くではない。体調の良いときなら運転も気にならない距離だが、長時間の運転は痒みを呼ぶ。そこで夫に言ってみた。

「この帰省の間に連れていってくれるなら受診する。自力で行くのは痒みが来るからイヤ。」

「わかった。」

短い帰省の期間な上、私にはあまり関心を示さない夫なのでためらうかと思いきやあっさりと承諾した。決して仲の良い夫婦とは言いがたい私達だが、それなりに心配はしているようだ。


当日、混んでいることを覚悟で夫と病院に向かう。何を言われるだろう?病名は何だと言われるだろう?考えただけで腕が痒くなる。助手席で、痒さや掻きたい衝動と戦っているうちに到着。小綺麗な病院だった。中に入ると意外に患者さんが少ない。

不思議に思いながらも初診の手続きを済ませ、待合室の週刊誌をパラパラとめくっているとすぐ呼ばれ、診察室に通された。物腰の柔らかそうな医師の顔を見て少し気持ちが和らぐ。経過と現在の様子を説明し、患部である腕を見せると医師もその場にいた看護師も驚いた声を上げた。

「これはひどい。それに細菌に感染している。抗生物質を使わないと良くならない。」

「薬を使わないと無理ですか?」

「細菌を殺さないといけないからね。抗生物質は使わざるを得ない。」

「そうですか…。」

薬を少しは使わないといけないんだ…。でも、細菌感染ということなら仕方ないのかな。

「患部は腕だけですか?アトピーには違いないと思うけど、腕だけというのは珍しいですよ。普通は全身に出ますから。」

そうなんだ…。珍しいんだ、これ。

「抗生物質を飲んで様子を見て、また診せに来て下さい。ひどくなった場合は、大きな病院に行って下さいね。」

「はい…。」

ひどくなったらどうしようという不安の中、返事をする。

「ウチはステロイドが嫌いという人にはステロイドは処方しませんから、とにかく抗生物質だけは飲んでくださいね。」

え?脱ステロイドって、そんなものなの?ご希望の方にはステロイドを処方するわけ?

そういえば、脱ステロイドを謳っている割には予約制じゃないし、混んでいなかったな。受付から、薬局での薬の受け取りまでちょうど一時間で終わったことも、早すぎる気が。

アトピーという診断に間違いがなかったことにホッとしながらも、皮膚科に行ったという安心感でハンドルを握る夫と、助手席でこの皮膚科の脱ステロイドの在り方に疑問を持ちながら帰途についた私。

そしてこの薬によってどんな変化や反応が現れるのか?

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