変化。
発症から2ヶ月が経過した頃、変化が現れ始めた。
手が痛くてたまらなかったために、下に下げておけなかった手が普通に下げていられるようになっていた。最初は下げられなくて、さらに手の甲のヒビに痛みが走らないように掌を半開きのような状態で、それを胸の高さに持って来ていたのだが、気がついたら、普通に下げた状態で過ごしていた。
そして、かき壊した跡は、浸出液が半日近く止まらなかったのが、一時間ほどで落ち着くようになってきた。まだまだ痒みはあるものの、過ごしやすくなってきている。
そして、私自身も、家の中の汚れやゴミを見て見ぬふりをし、ゴロゴロすることにもずいぶん罪悪感が減って気が楽になってきた。
そして、もう一つの転機が訪れた。仕事の関係の知人が鍼灸師を紹介してくれたのだ。「普通の」皮膚科を紹介したがる人が多く、辟易していたところだったので、鍼灸師という選択は盲点だった。そして、外科的な鍼灸しか受けたことのない私にとっては、今回の鍼灸は未知の世界。3日ほど考えた末に電話をかけた。相談してみて、ステロイドの話が出たらその場で帰ってこようと決めて。
その日の午後イチに予約が取れたので警戒しながら訪れると、鍼灸師であるご年配の先生は、それまでの経過と、エッセンシャルオイルを使用していることや、ステロイドを始め、薬を使いたくないということを話したら、物静かにじっと話を聞き、そしてこう言った。
「ウチは薬は滅多に出さないよ。出しても漢方薬だよ。そして、西洋医学が一般的ですが、ウチは鍼なので中医です。」
よかったあ!薬自体滅多に使わないなんて!ここなら通ってみてもいいかも。
そして手首の脈を見る。弱っている箇所の脈は弱いんだとか。
結果、あちこちの脈が弱く、腕の熱いのは血が熱いせいだと言われた。説明を承けてもなんのことだかよくわからないまま、鍼治療がスタート。どこに刺されてもズーンとした痛みが走る。
ズーンとした痛みを感じながらもウトウトしているうちに治療が終了。次の予約やら、保険の書類の記入をして帰ろうとしたときに先生は言った。
「鍼治療はすぐには変化は出ないけど必ず治るから大丈夫。しばらく通って見てください。」
どうしても薬を使うようなスピーディーな変化は自然治療の場合は期待できないという点では、納得できる。
頑張って通ってみよう。私は、ステロイドと縁を切りたい、そして元気な体に戻りたいのだから。