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台町慧都

 台町慧都(けいと)です。生まれは東京都渋谷区で、中学1年生から大崎市に住んでいます。出身中は古郷中学校で、今は大崎更進高校の2年生です。クラスは1組で、選挙管理委員会と語学部、社会研究部に入っています。

 先日の事件その物より、あの事件があって大きく変わった人間関係のお話になってしまいますが、よろしくお願いします。


 私が大崎に来た事も、逸果さん達が苦手だった事も中学受験が原因でした。

 父の勧めでとある女子校を受けたら落ちて、その事や妹の受験をどうするかで両親が喧嘩するようになりました。学校では逸果さんや下川原(しもかわら)さんみたいな……賑やかで目立つ子達にからかわれ、担任の先生には、

「台町さん、模試でA判定出る度自慢していたでしょう? それで貴女にイライラしていた子もいるんだから、言われても仕方ないよ?」

 と言われました。自慢した覚えはないんです……同じ塾の子と模試の話はしていましたけど。

 その、学校での事で悩んでいた時に、母が実家に帰ろうとしている事が分かりました。私も母、祖父母にも学校での事を話して、母と一緒に大崎に来ました。

 大崎に来て、郷中で果穂子さんと美菜さん、下川原さん、浦小路君、地元のガキ大将とその子分だというやんちゃな男子達と同じクラスになりました。

 そこで改めて、私は下川原さん達が苦手だと感じました。授業は必ず脱線させるし、休み時間や行事の度にお祭り騒ぎだし……意地悪はしてこないけれど、渋谷の子達みたいだと思ったんです。

 それが顔や態度に出ていたみたいで、ある日、果穂子さんと美菜さんに、

「台町ちゃん、伸葉ちゃん達嫌いでしょ?」

 と聞かれました。そこで「嫌いかなぁ……」と答えると、2人とあおいさん、実貝さんのグループに入れられました。

 グループに入ってからはいつも5人で過ごしていて、お母さん同士も仲良くなっていました……が、実貝さんの機嫌次第で誰かを仲間外れにする事が時々ありました。

 中学2年生の3学期、クラスで澄那さん、理依さんと同じ班になっただけなのに「伸葉探偵団と仲良くなった」として仲間外れにされました。

 他の子に席の交換をお願いしたり、澄那さん達に冷たい態度を取ったりしても「今更遅いよ?」と許してもらえず、他に行くあてもなく(仲が悪いままの方がクラスが離れて3年生楽かな)と考えていた矢先〝宮城県中学生2人殺害事件〟が発生しました。

 事件の次の日、母から「澄那ちゃん家すごい事になってる」と聞き、澄那さん家を見に行きました。澄那さんのお母さんがマスコミの人達に噛み付いていました。その様子が当時やっていたドラマのワンシーンのようだった事と、澄那さんの弱みを握った事を実貝さんに携帯で話すと、

「慧都やるじゃん! そこまでやるなら許すしかないでしょ〜」

 と言って、グループに戻らせてくれました。

 それからは私が仲間外れにされる事はなく、5人揃って更進に入り、彼の追っかけのような事をして過ごしてきました。


 高校2年生になって彼と話す事が増えると、グループの中で軽く扱われていると感じる事も多くなりました。確かに、実貝さん達からしたら私ばかり彼と話せてずるいんでしょうけど、恋愛相談だったと言えない以上弁解しようがありませんでした。

 夏休みが始まってすぐ〝仙台息女事件〟が起きましたが、それに対しては仲間内で「また祖志継さんだって」と話して終わりました。

 その〝関連事件〟の始まり……澄那さん家での食中毒の事は果穂子さんのお母さんから聞きました。学校に着いて、クラスの子に「澄那とか休み?」と聞かれたので食中毒の事を話しました。

 あの時既に学校裏サイトが話題になっていて……澄那さんも彼と仲が良かったので、私ごと切るのに使えると思ったのでしょう、実貝さんの当たりが強くなりました。彼と同じ中学校出身のかわいい子達に彼を「横取りしないで」と言わされたきり無視されて、実貝さんの狙い通り? 私が学校裏サイトの犯人にされました。

 停学になった日、身に覚えのない事で校長先生に叱られ唖然としていると、澄那さんと逸果さんが「本当の事を話しに」来ました。

 本当の事、というのは……真犯人は冬美さんである事、その動機がお姉さんをはのんという子に殺された事。澄那さんへの攻撃=祖志継家への攻撃なので、冬美さん以外の更進生が祖志継家に目を付けられないようにする為と、祖志継家から離れようとしていた澄那さんのご両親を消す為、澄那さんと遠い親戚? の子が動いている事です。

 それで校長先生が私と母に謝ろうとすると、澄那さんが、

「今は台町ちゃんを犯人にしないといけないんです」

 と言いました。その理由は、冬美さんに祖志継家への復讐をやり遂げさせる為と、犯人が見つかって学校側で処分を済ませた事にする為と、私と実貝さん達に距離を置かせる為でした。

 それで私は停学を受け入れました……ここだけの話、実際は謹慎だったんですけどね。


 停学が明けてからは逸果さん、クラスの子達や同じ部活の子と付き合うようになりました。

 実貝さん達とは一度も話していません……し、あれから実貝さん、孤立したんです。

 私が学校に戻った頃は、理依さん達に私にした事を言いふらされて4人共大人しくなっていたんですが、更進祭辺りからあおいさんを仲間外れにしていたようでした。

 ただ、今までと違ってあおいさんがグループに戻ろうとする様子はなく、果穂子さんと美菜さんも実貝さんを避けるようになりました。


 こうして話してみると、逸果さん達も私達もだいぶ変わったと改めて感じます。澄那さんのおかげで私達更進生も祖志継家と戦い続ける事もないので、冬休み明けも平和に過ごせるかと思います。

 私の話は以上です。長話に付き合っていただき、ありがとうございました。

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