浦小路一世
僕は浦小路一世です。大崎更進高校の2年生で、地元では〝伸葉探偵団〟と呼ばれてる内の1人……でした。
伸葉探偵団というのは伸葉ちゃん、僕……理依ちゃん、澄那ちゃん、逸果ちゃんを、地元のみんながまとめて呼んだ物です。
昔、近所のワンちゃんが居なくなったのを見つけたのがきっかけで、それからも……だいたい探し物でしたが、同級生が困ってたり、騒いでるところに行ってばかりいたら、そう呼ばれるようになってました。
そんな僕達が最後に関わったのが、この前の事件でした。
澄那ちゃんが被害に遭った事から、最初の事件があった日から動いてましたが、殺人とSNS炎上、女子のいざこざが絡んで真犯人が見つからず、大事になってしまいました。そこで師山先生が僕達に、
「貴方達がやっている探偵ごっこ、今、ここでやめてくれないかな? 貴方達が遊び半分で手を出したから、関係ない子が巻き添えになっているの。このまま問題が解決しなかったら、更進祭にも悪い影響が出るはずよ?」
と言ってきたので、その日から僕達はなにも出来ませんでした。
僕達が急に大人しくなって、保護者会が「先生を保護する会」なんて言われる物でしたから、地元では先生達が悪者にされてました。
学校でも、裏で……ここだけの話、師山先生が「白石でやらかした」事が噂になってました。
僕と恋音ちゃんで調べたところ、先生は更進の前に居た白石の中学校で、いじめの常習犯でお父さんに後輩を殺させた祖志継来代という人を庇ったとの事でした。その時に、
「あの子と違って、いい学校に薦められない子達が喧嘩を売ったのが悪いんでしょう? 亡くなった2人こそ、学年ワースト1位の問題児でしたから」
と言ってたというのです。澄那ちゃん家にもマスコミが来てたように祖志継家ばかりが話題になって、先生の事は地域の話題用の掲示板にしか載ってませんでした。
真犯人だけじゃなく先生も許せないとは思いましたが、その後にどうにかする事は出来ませんでした。友達も大事だけど、進路も同じ位大事だったので先生に逆らえなかったんです。
僕達はそのまま更進祭を迎えました。地元の友達……に限らず、地元からは果穂子ちゃん、美菜ちゃん、実貝ちゃんのお母さん位しか来てませんでした。友達と回るのに空けてた時間暇になって、図書委員の方に顔を出したら夏芽ちゃんも居て、
「後夜祭でサプライズやるよ……冬美が、澄那に」
と教えてくれました。
理由は置いといて、冬美ちゃんが真犯人である事は分かりました。ただ、後夜祭でなにかするとなると、師山先生が邪魔して、その間に冬美ちゃんが逃げたり隠れたりするんじゃないかと思いました。それで僕達は、先に先生を食い止める事にしました。
更進は元々地域の為に作られた学校なので、先生達は親だけじゃなく、近所の人や会社、役所からどう見られてるかを気にしてました。そこを利用して「なんか隠してますよね?」と電話するのを恋音ちゃん、南谷地ちゃんが声を掛けた心菜ちゃん、祀陵……とかの人達がやってくれました。
南谷地ちゃんいわく先生に「歯向かったら驚かれそう」な僕と京穂ちゃんが先生を直接止める役でした。
思ってた通り、冬美ちゃんに呼ばれた澄那ちゃんが前に出されてすぐ師山先生も来ました。僕達は澄那ちゃんと先生の間に入って、
「注意する人違いますよ‼」
と言いました。「違ってないわよ!」とか、他には……ひどい言葉で言い返されましたが、僕達も負けずに、
「白石でした事忘れてますよね!?」
「なんで私達も止めたんですか!?」
と反撃しました。
そうしてると伸葉ちゃんが来て、師山先生は教頭先生が電話に連れてってくれました。南谷地ちゃんが夏芽ちゃんを救出して、みんなで本当の事を知らせました。
それが僕達の最後の大仕事でした。
伸葉探偵団は伸葉ちゃんの一言で解散……したような物でした。
伸葉ちゃんとあおいちゃんがインタビューされてたのを見て、恋音ちゃんがあおいちゃんに聞くと、
「探偵なら解散したから居ないって。だからなんも言わないし、もう関わんないって事じゃね? たぶん」
と言われたそうです。
あおいちゃんの予想通りならそれが正解だと思います。あの事件で、祖志継家はおばさんが言ってたよりも危ない存在だと分かりました。
澄那ちゃんに免じて目を付けられなかったので、これからは彼女……恋音ちゃんを大切にして、進路が違くても一緒に頑張っていきたいと思います。
僕から話せるのはここまでです……ありがとうございました。
地元の同級生グループ 川熊果穂子 (かほ)
地元の同級生グループ 桑針美菜
地元の同級生グループ 馬放あおい
地元の同級生グループ 福沼実貝