塩柄宇彦
祀陵2年の塩柄宇彦です。
俺からは元カノの下 愛留さん、愛留さんと一緒に祖志継家の賛同者になった人達の事を話します。
愛留さんとは1年の時から付き合ってました。元々同じクラスで、中学が隣同士だった事から仲良くなって、向こうから告ってきました。
その頃から愛留さん……の、知り合いだという人達が、愛留さんの噂話をしてくるようになりました。愛留さんの親御さんが会社をやってるのは本当なんですが、それで先生が逆らえないからやりたい放題とか、愛留さんとトラブったら悪者にされるとか、揉み消されるとか、漫画の中だけだと思ってた話ばかりだったので、全く信じてませんでした。
愛留さんが自分以外、俺の友達やクラスの人を邪魔者扱いするのも、束縛が激しいのも、みんなが僻むから不安でしかたないあの子なりの愛情表現だと思って我慢してました。それで……1組の人には悪かったけど、クラスの事を聞かれては喋ってました。
みかんさんが誘拐されそうになってた時、俺は同じ部活の人達と居ました。部活が中止になって、愛留さんと帰ってたら、祖志継さんからのメッセージが届きました。
これだけは愛留さんには喋らなかったのですが、俺は黒松の中学であった事を従兄から聞いて知ってました。だから、俺達も祖志継家のターゲットになった事で、最悪殺されるんじゃないか本気で心配してました。
愛留さんと泉中央に居たところで、葛岡から陸が1組を集めてると聞きました。用事が入った事にして行こうとしたら、
「嘘だよね、本当は1組なんでしょ? 宇彦君達には関係ないんだし、いつも通りほっとこうよ」
と、言われました。葛岡には断って、愛留さんには謝りましたがむんつけたままで、夕方まで一緒に居させられました。
あれから愛留さんは、みかんさんが祖志継家に捕まれば、また俺に構ってもらえると考えてたようでした。それで次の日には、祖志継さんとも仲がいい愛子羽依花さん、羽依花さんのお兄さんの頼伍先輩、羽依花さんと付き合ってる葉前場先輩……とか、今年祀陵を卒業したヤバい先輩達と一緒に、祖志継さんの『新しい仲間』になってました。
山手さん情報だと愛留さん、はのんさん、頼伍先輩は台原駅で待ち合わせて海恵さん家、柏木さん家に行くとの事でした。そこで俺も泉中央駅から愛留さんを追う事にしました。
海恵さん家の近くまで行くと、ガタイ良い奴とヤンキーがたむろってました。あわや一触即発というところで近所のおじさんが出てくると、愛留さん達は逃げ出しました。
そのまま柏木さん家に行くと思って、俺は柏木さん家の近くに先回りしました。こっちでは警察と地元の人、なぜか愛留さんが来るのを知ってる奴らが出歩いてました。愛留さん達は人目を避けながら柏木さん家を目指し、移動中ずっと、俺から聞き出した1組の事を喋ってました。
柏木さん家とは違う方向に行ったところで、愛留さんとはのんさんが祖志継さんに呼び出されてました。その場で頼伍先輩と別れて、先輩は路駐を切られた事で祖志継さん達の仲間とバレ、警察に連れてかれました。
頼伍先輩の事をグルチャに載せようとしたら、葛岡から『お前の彼女とか集まるけどどうする?』とメッセージが来てたので『直接行く』と返して、愛留さん達の集合場所に向かいました。
集合場所に着くと玲華さん、菊田、上愛子が先に来てました。3人に愛留さん達が居る方を見張ってもらって、俺が通報しました。その間に葛岡、八幡さん、陸、奏さんも来ました。警察もすぐ来るとの事だったので、それまで祖志継さん達が逃げないように取り囲もうとしたら、愛留さんだけ残されてました。
羽依花さんと葉前場先輩が玲華さん家で捕まって、頼伍先輩と、他の先輩達も居なかったので、祖志継さん達的に、愛留さんは用済みなんだと思いました。俺からも、愛留さんとはあそこで終わりにするつもりで、
「女友達からも、捨てられたんだな」
と、言いました。
愛留さんは祖志継さん達と、俺からも捨てられると分かってるようでした。分かってても受け入れれないと言わんばかりに騒いで、自分がしてきた事を俺のせいにして、八幡さんの目の前で「早くみかんちゃん捕まっちゃえば」と暴言を吐きました。
それで八幡さんが愛留さんを叩こうとしたので、俺が止めました。柏木さん家の近くで愛留さんを恨んでる奴らを見て、今までの噂話が本当だったと分かり、八幡さんを悪者にさせないよう……もし、後で誰かを悪者にするなら、別れを切り出した俺だけにさせようと思ったのです。
別れ話をしてすぐ、愛留さんは刑事さん達と警察署に行きました。
その後、あみさんのお母さんの件と、他の先輩達がまだ動き回ってた事が分かりました。山手さんを心配した奏さんは山手さんのところに行き、俺達は手分けして先輩達を探しました。そこで台先生に会って「1人で居ないで立町君のとこ行こ!?」と言われ、海恵さんと咲苗さんを拾いながら、貴栖屋に避難しました。台先生は愛留さん、羽依花さん、先輩達が繋がってる事を分かってて、先輩達が愛留さんに代わって俺になにかしてくると考えたそうです。
俺達が貴栖屋に向かってる間に、仙台に残ってた八幡さん達が事件を終わらせた……と、思ってました。
でも、事件は続きました。
帰りも台先生が送ってくれて、家に着いたら、兄さん達がこの手紙を預かってました。
『この度は分家のお相手ご苦労様でした。恋人に別れを告げて、さぞかし楽な気持ちになった事でしょう。お気の毒ですが、我々と彼女達、貴方方の目的を果たすまでお付き合い願います』
これで、立町の伯母さんの忠告通り本家が出てきて、愛留さん達も正式に祖志継家側……賛同者になったのを察しました。
祀陵祭の中止が決まった次の日、普通に戻ってきてた愛留さんと羽依花さんがまた動き出しました。1組のドアに『私達が祀陵祭をなくしました』と書いた紙を貼って、SNSにも『祀陵祭中止の本当の原因は2年1組』と書き込んでたそうです。
それから俺と別れた事、祖志継さん達が捕まった事も1組のせいだと、直接文句を言いに来たり、黒板に落書きしたり、色んな嫌がらせをしてきました。そのせいで山手さんが学校に来れなくなりました。中山先生、台先生達は愛留さん達が相手ではどうする事も出来ないようでした。
更進での事件が解決すると、祀陵でも状況が変わりました。ネットや週刊誌で今までの事を暴露されたからか、今度は愛留さんと羽依花さんが学校に来なくなり、山手さんが戻ってきました。
ただ、愛留さん達からの嫌がらせはSNSやメッセージ、メールを使って続いてますし、頼伍先輩、葉前場先輩、他の悪い友達となにかしそうな話もあるので、まだ事件が解決したとは言い切れません。
そのせいか、ネットとかで愛留さん達の名前が出るようになっても、自分の口からは言いにくいか、言いたくないのがみんなの本音です。
その中で俺は、愛留さんにクラスの事を喋ってきた分、愛留さん達の名前や知ってる事を伝えようと思って、ここに来ました。これからも愛留さん達……賛同者を入れた祖志継家が止まるまで、向き合ってこうと思います。
話が長くなりましたが、聞いてくれてありがとうございました。
塩柄の元ガールフレンド 下 愛留
玲華と敵対している祀陵高校生 愛子 羽依花 (うーか)