表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/11

滝道みかん

 あたしの名前は滝道(たきみち)みかんです。祀陵(しりょう)高校の2年生で……実は、お姉ちゃんが2人居ます。しかも、あたしを入れて3つ子なんです。

 今日はそのお姉ちゃん達と、あたしの事を話したいと思います。


 あたしのお姉ちゃんは祖志継(そしつぎ)ちゃん……と呼んでたはなこちゃん、はのんちゃんといいます。苗字が違うのはママとパパが離婚したからで、ママが祖志継家から連れ出せたのはあたしだけだったそうです。

 お姉ちゃん達の事をママから教わったのは、高校の入学式の後でした。ママと一緒に名簿を見ていたら、はなこちゃんの名前があったんです。そこからお姉ちゃん達の話になりました。

協二(きょうじ)っぽい人が居ると思ったら、やっぱり……この、祖志継はなこって子、みかんのお姉ちゃんよ。祀陵には来なかったみたいだけど、もう1人、はのんって子も居るの」

 と、急に言われて驚きました。でも、パパ達が悪い事を教えてるかもしれないそうで「はなこちゃんとは関わっちゃ駄目」って注意されました。

 1年生の時はクラスが離れてたのでなんともなかったんですが、2年生で同じクラスになった時は、言い方良くないけど……正直、困りました。

 1組は女子が少ないので、どこかで関わらなきゃいけなそうでしたし、はなこちゃんがみんなに嫌われてたので、その妹だってバレたらあたしも嫌われると思ったんです。

 なので、お姉ちゃん達の事を知ってても誰にも言いませんでしたし、他人みたいだけど、はなこちゃんを祖志継ちゃんと呼んでました。


 でも、最後の課外授業の日、はなこちゃん達があたしを祖志継家に連れてこうとしたんです。その時にはなこちゃんが、

「私の妹だって八幡(はちまん)には話していなかったかしら? 他のみんなにも」

 って言ったんです。それを聞いていたレイと(あね)さん、咲苗(さなえ)ちゃん……大霜(おおしも)君と針金(はりがね)君に引かれたと思って、慌てて「関係ないから」って言いました。本当はレイ達が先生を呼びに行って、大霜君と針金君は女子が揉めてるのが怖くて逃げちゃったそうです。

 レイ達もですが、ハチと輝彦(てるひこ)君、クラスのみんな……熊ケ根(くまがね)ちゃん以外は、あたしがはなこちゃんの妹だと分かっても嫌ったりしないで、助けてくれました。

 ママ同士は仲が悪かったあみちゃんも、あみちゃんのママがはなこちゃんにあたしの居場所を教えたりした事をメッセージですぐに伝えてくれました。そのお陰でニカん家、それから貴栖屋(きすや)に避難する事が出来ました。

 貴栖屋からは、仕事を早退してきたママの車で帰りました。それまでみんながどうしてくれたか話したら、ママは、

「みんなに迷惑掛けちゃったね……」

 と、言ってました。


 事件はあれだけで終わりませんでした。

 貴栖屋から帰ったら、祖志継家の本家から手紙が来てました。ハチにも手紙は来てたそうですが、あたしのとは違う内容でした。

 あたしへの手紙には、本家にも人が居ないから祖志継家に戻って跡を継いで欲しい、あたしが戻るまで1組を許さない、といった事が書かれてました。

 夏休み明けの祀陵祭が中止になると、その事と、友達……はなこちゃん達が捕まった事、塩柄(しおがら)君にフラレた事を1組のせいにしている子達が、祖志継家と手を組んで、1組に嫌がらせをしてくるようになりました。

 その子達以外の、2年生のみんなは「1組のせいじゃない」と言ってくれて、更進(こうしん)での事件と、その後も、一緒に祖志継家と戦ってくれてます……とは言っても、あたしは守られてばっかですが。


 それで、ずっと思ってた事があったんです。

 夏椰(かや)ちゃんのパパやクロ、祀陵と更進のみんなに迷惑を掛けてる祖志継家に居たあたしが、こんなに守られていいのかなって。ママも一時「みんなに悪いし、転校してもいいんだよ」って言ってました。

 でも、中学生の時から祀陵以外考えられなかったから、転校はしたくなくて……ハチにこの事を話したんです。そしたら、ハチは

「むしろ、守らせてよ! うちはみかんちゃんの親友なんだから」

 って、言ってくれました。

 それに、輝彦君もあたしが悩んでたのを知っていて、

「俺も……みかんさんの事好きだから、守りたいんだ」

 と、告白してくれたんです……もちろん、OKしました。ちょうど、クリスマスの1ケ月前でした。

 その、ハチと、輝彦君との事があったので、ママにもちゃんと話して転校しない事にしましたし、あたし自身、ただ守られるだけじゃなくて、祖志継家に戻る以外の方法で、あたしもみんなを守ろうと考え直せました。


 あたしの話はこの辺で……聞いてくれて、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ