二章 ~邂逅と契約の・・〜第4話
これは、なんだ。
意識はある。現に瞼を開ければ叩きつけた自称神が目の前で延びている。
一息吐こうと座り込み、瞼を閉じると俺の知識にはない光景が見えてしまう。
これは単純に考えても、あの自称神の記憶か夢なのだろう。
まあ、暫くは暇潰しに見ているか。
正直、精神的に疲れたし。
踞り、瞼を閉じる。
懐かしい。これはまだ我が一柱を担っていた、遠き過去の記憶。
我は一柱の中でも存在が燻っていた。故にアヤツに強烈な憧れを抱いていたし、我を雄一認めてくれた最上の友で有った。
はは。懐かしいな。この光景は。そうだ、世界を作り出す作業の合間にアヤツと様々な分野の討論を交わしていた。時には過熱しすぎてどちらが正しいのかを証明するために、一帯を消滅させたものだ。
その都度他の方々に押さえつけられていたが。アヤツは自陣の領へ。我は高くそびえ立つ塔の部屋へ監禁されていた。
今ならば分かろう。この時の我は自身の底にある膨大な存在を上手く制御できておらず。あのような地より離れし場所へと幽閉するしか無かったのだろうと。
だが、この時の我は若く、そして、自尊心の塊のようであった。
暴れに暴れ、衝動の限り力を発散させていた。
気が落ち着くと我を閉じ込めている塔の鍵が開けられる。
どういう仕組みかは知らぬがそれを数えきれぬ程に繰り返し、そして我は、存在を自在に操る術を身に付けていた。
不意にではなく、この独り語りは暇潰しには最適とは言えないと心底思う。
精神の疲労が癒えていないから見ているけど。
鬱展開確定だろうが。
そう、あれは、世界を作り出して安定期を迎えた時期、我等の前にひと。
そうだ、我は根底を司る。
どうなっている。何をした。答えろ。
我の前には背を向ける存在。
あ、ぐあ。これは、な、ぜ。そなたら。
我の体には大きな風穴が穿たれ、我としての存在が漏れて霧散していく。
おの、れ何時か、か、なら、ず。
我の感情は負に支配され、満たされていた。
その存在を、け、す。
我の意識は消えかけていく。
消滅の寸前、アヤツ含め我を見下すその視線の背後で見たあの虫酸が走る笑み。我は忘れず。
我の潔白を証明して、この手で。
存在が枯渇し、我は、我と云うものがその世界から消失した。
次に我が目覚めし場は、この広大な空間。
この場で終わりのない時間を過ごしていく。
孤独が我の思考を歪め、自我を壊し、消え失せ、塊と成り果てる。
抗わず、更なる時間へと流れ落ちていく。
自我が失われ時の認識すら消失してどれほど経つのか、何の切っ掛けかは知らぬが。
我の何かに知らぬ光景が見えた。それは失われた自我を戻す呼び水となり、我は思考を張り巡らせた。そして至る。
その思考の中で見た一人の存在が確信させる。
そう、それこそが我の完全なる器に成る肉体だと。
さあ、始めよう。我の復讐の。
そろそろ、てか、気分が余計。はあ。いい加減、起きろ。鬱陶しい。