一章~死にたいと言うのは心理的にはどんなモノ~第1話
何処かに何かがあればどうでも良かった。
この言葉は僕が昔誰かに対して言っていたはずだけど、・・・今は関係ない言葉だし。
これからの話はあの腹立たしいこと以上の拗れた話。
これは過去からの強引な押し付け。
まあ、その前にあれには少し引いた。
では、話そうかな、前哨話を。
前置き、長いかな。
それは、あの長すぎず短すぎない入学最初の行事が終わってから2日位過ぎたある日の早朝、僕は何故か教室にいて補習を受けていた。
そういえば関係なくとか言っていたけど、こんな平日の太陽も登っていない時間に受けさすとかおかしいでしょ。
そんな文句を受け入れられず僕は受けるしかなかった。
始業の鐘がなる数分前まで受けさせられそのまま普段の授業を受ける。
不思議と授業を全く受けていない、と言っても2日だけどかなり詰め込んで受けさせられているとはいえ、すんなりと内容が理解できて付いていく事が出来た。
授業の合間に僕は眠りに費やす事に専念していた。
合間の眠る時間なんてたかが知れているでしょ。周囲の騒がしさを聞きながら寝ていても強制に鐘で起こされた。
そんな事で眠気が解消されることは無いから、やっぱり眠気に抗いながら受けるしかなく。唯一、長く眠れるとすれば昼時の昼食を含めた一時間程だった。
まあ、それでもなかなか眠れなくて、気づいたら午後開始の鐘が無情に鳴り響いていた。
楽しみな授業だったから始まると眠気が飛び集中できた。
その日最後の授業終了を告げる鐘が鳴り、画面を消して帰宅の準備をしていたら、妙な視線を、撫でるような、突き刺すような感じを受けていても手元を休めず進めていた。
一通り終わって一息吐いたら、周囲から身構えるように僕から距離を置いた生徒たち。首を傾げて不思議に思っていると、廊下から遠慮なしに僕を呼び出す声がした。
その声は何度も聞いていて見なくても判っていたから、軽く伸びをしてから教室を出た。
針が、いえ、刃先鋭い細身の剣を数十本も突き刺される感覚を伴った視線が近距離からしていた。
と、いうのも、僕が居るところは周囲を強化ガラスで覆われた個室、ガラス張りなので外に丸見えだからそこには人の壁が囲んでいた。
その視線が痛い。
「えと、で、あの」
頭を軽く下げてから時間を取らせた事を謝られ、補習の事や教室での事、更には周囲の態度等々を聞かれて、全てに答えた。
沈黙が続く、何か重い空気は漂い僕に纏わりつきたそうに舌を出し、暗い底から引きずり込もうと淡々と狙っていた。
それを振り払ったのは、
「と、君の近況は此処までにして、だ。」
先生だった、
「僕を呼び出したのは世間話とかをするためじゃなくて、別件ですか」
「察しが良くて助かる。」
テーブルに置かれた飲み物を数口含んで喉を潤し、ある頼み事をしてきた。
ええ、確かに声を荒げて断りましたとも。そんな物は僕に関係ないし、それを解決したからって僕には得がない。其を知ってか知らずか、相手に恩を売る事ができるとか言ってきた。
正直、迷惑すぎて関わり合いたくなかった。そんなことをすれば後々に鬱陶しい事になるしそれは避けたい。
恩を売るにしてもそんなの何処かで限りがあるし期待も出来ないするきもなかった。
「君にも色々有ることは重々承知している。でもこれは、君にしか頼めない。どうか頼む。」
「はあ、」
「お、引き受けてくれるのか」
「あのですね、先生」
「なんだ」
「人に頼むのにどうして腕を組んでふんぞり返っているんですか。声と言葉だけ聞けば懇願しているようにも聞こえますけど、実際、その態度は如何がなものかと」
「ふむん、それは済まない。しかし性分だ。許せ」
僕の前に置かれた飲み物を全て飲み干してから一つの条件を付けて其を絶対に守ると誓わせるのなら引き受けるといった。もちろん此を受けない場合は、如何なる手法を用いても断ります。と最後に付け加えて菓子を一口で放り込んで個室を出て、教師陣の視線を受けながら部屋を出た。廊下の窓の向こうは薄暗く日も堕ちかけていた。
どうしよう、と考えていた。先生の頼まれ事は別にして、今の僕の目に映るこの光景はなんだろうかと。
疲れた、誰か、僕を休ませてくれ。とこの時は心底思っていた。勿論、此れから暫くして、長期に休めるのだけど。