表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
# Phase  作者: 日波清乃
1/4

/00 Able(1)

/00 Able


田端 美里(16)

多部 啓人(17)


薄暗い放課後の図書室が私の一番居心地のいい場所である。

私はここで本を読んだり、宿題をしたりして放課後の大半を過ごす。

でも最近それ以外の図書室の利用方法が増えた。


「みさちゃん。」

と静かに小声で呼びかけてくる優しい声。

「こんにちは、多部先輩。」

と冷静を装って返答をしてみるも私の心情はいつも高鳴りに満ちてます。


「今日の宿題は数学か。」

と何かと私の読んでいる本や宿題について話題を振ってきてくれる。

私は少しそのことに期待感を持つようになり始めていた。


でも私はそこからいつも言葉が続かない。

それは私と先輩は宿題の解き方を聞ける関係なのか、どうかがわからないからである。

世間一般の高校生なら気にもとめないのだろうが、私は本当に憶病なものである。


先輩に初めて話しかけられたのは2ヵ月前の春の終わりごろ。

多分先輩は運動部で、引退したのをきっかけに図書室を訪れたのだと思う。

その時期は沢山の先輩方が図書館を訪れたが、すぐにほとんどが訪れなくなった。

私の居心地のいい場所が捕られた気がして少し寂しい思いがしたが、すぐに元の図書室に戻った。


でも一人だけ図書室に居ついた先輩がいた、それが多部先輩である。

「サッカー関係の雑誌が置いてあるって聞いたんだけど。」

と私がいつも図書室に居るから図書委員だと勘違いしたらしい先輩が話しかけてきた。


実際私は図書委員ではないし、文学作品しか読むことない私は非常に焦った。

それ以上に男子と頻繁に喋ることなんてないし、喋り方なんて分からなかった。


「部活関係の本のところにあると思います。」

とあるかどうか分からなかったけど、何か答えないとと思って伝えた。


「声小さいね、図書室は静かにが原則だもんね。」

と先輩は小さな声で子供の様に無邪気な笑顔を見せながら答えた。


私、あの時声小さかったんだな、図書室だったから小さくなったわけじゃないと思うけど。

先輩はそのあと雑誌を見つけたと小さな声とあの時と同じ笑顔で報告してくれた時から

私は多分先輩を気にしていたのだろうが、そこからはこの憶病な性格が邪魔をして何も進展しない。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ