働かざるもの
装備の事は抜きにしても、やはり銀貨三枚では心許ない。
情報収集をかねて、街の人と話をする事にした。
「今度、うちの坊やが王様の騎兵隊に仕官するのよ」
という自慢話を三時間程聞いて、
「もういいです」
と断る頃には日が暮れようとしていた。
所詮は街の噂話程度しか情報が集まらない。
この町の周りにダンジョンのようなものはないそうで、次の町まで歩きだと十三時間でたどり着ける。
王様の近衛兵になると、給料は公務員ぐらい貰える。
兵士になるためには幾つもの難解な試験をパスし、身体検査や身元調査が必要。
彼女の息子はエリートコースにのることができたが、最近王宮が騒がしくて不安がある。
そんなやや片寄った 情報しか得る事ができなかった。
だが、今回一番の収穫は今夜の宿にありつけた事だ。
たまたま息子さんが就職したため部屋を借りてもいいというのだ。
無駄に長話を聞いていた訳ではなく、私は巧みに宿の交渉をしていたのだった。
「おっさんは野宿してね♪」
四六時中一緒に過ごしながらなんの成果も得られなかったのだから当然だ。
せめて、別行動で聞き込みをするか銀貨でも稼いできて欲しかった。




