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Work2 掃除屋風紀委員

そしてやってきた美化清掃の日。

学園の中等部の生徒達はみなぎっており、運動会さながらの熱気を帯びていた。

季節は夏。物凄くあつい。この「あつい」にどの漢字を入れても通じてしまいそうなくらいだ。


「よーし!お前ら揃ってるな?アレッサは暑いのが嫌ですって理由で風紀委員室にて茶を飲んでる。まぁいつも通りだな!」


そんな理由で休めるなら俺も休みたいです。

というより、それをいつも通りにしないでほしい。

もっと風紀委員は一人一人が変わっていくべきなんじゃないだろうか。


「……………」


雲水の横で下を向いているのは、ゆらりんこと由良凜だ。

文武両道を通り越して全知全能の兄を慕っているようで、兄の命令は素直に聞く良い子なんだが……

多分、いや確実にブラコンだろう。

それに付け入り、あの馬鹿兄貴は「俺の命令に従えば天才になる」とか吹き込んだらしい。雑用をやらせるために。


「んー、昨日の死にたい病は無くなっちゃったー。あはははははは。」


呑気に笑っているのは風紀委員の双璧、紅い髪の知的メガネ『入江雪夜いりえゆきや』である。

雪夜は会長とまだ集合場所に来ていない九鬼と並んで学年TOP3及び三馬鹿の一人だ。


何故自分がこの馬鹿野郎どもを抜けないのか、

いや自分で無くても何故他の誰もがこいつらを抜けないんだろう、といつも思ってしまう。


「んで、九鬼はまだなのー?あは。」


「知らんぞ。どうせそのうち来るよ。あぁ、そうそう。お前らに重大発表。」


重大発表という事で、皆「?」を浮かべながらも雲水の方を向く。

雲水は腰に手を当て、その重大発表とやらを告げる。



「助っ人、全員休んだわ。助っ人無しね」



は?



ガンッ!と地団駄を踏んで真っ先に怒りをあらわにしたのは主水だった。


「ふざけんなこのクソ会長がぁああああああああ!!!お前、この敷地をどう掃除するつもりじゃボケェエエエエエ!!」


「わ、悪かった……お代はプライスレス、皆との思い出だろ?とか言ったら来なくなっちゃったんだ……てへっ。」


「あはははは。」


二人のやり取りに対し、またまた呑気に笑う学年三席の入江雪夜。

そして、やり取りを行っている最中に、遂に会長が理不尽な怒りを主水にぶつけた。


「お前なぁ!じゃあお前がやれ畜生!俺ふざけただけだろうが!休んだあいつ等が悪いんだよ!俺に理不尽な怒りをぶつけるな!」


お代の話もどうかと思うし、確かに会長の発言に一理ある。


しかし、忘れてはならない。


アンタが会長なんだよ。


だいたい、主水が「俺と良寛で友人少しくらいなら連れてこれるぜ」と言ったのに対し


「いらん。クズの寄せ集めはいらん。俺の有能な手下共を集めておく。」


とか言ったのは何処の誰だっただろうか。

きっと自分の言ったことは遥か忘却の彼方に飛ばされてしまったのだろう。


「もういい!お前ら勝手にしやがれ!俺は秋葉原行くからな!」


もう勝手に行ってくれ。


「お前ら!掃除ができてなかったら殺す!」


その時は風紀委員全総力を上げお前をぶっ殺す。


「………(オドオドキョロキョロ)」


残された凜ちゃんはキョロキョロ周りを見ながら兄を捜しているようだったが、

兄は光の如きスピードで朝っぱらから秋葉原に行ってしまったんだよ。まだどこもシャッターがしまっているような気がするんだが。


「………(しゅん)」


結局兄を見つけられずしゅんとしてしまった天才の妹。

この子も少しネジが飛んでいるのだろうか。

雲水の家はかなりの大金持ちで、両親ともに海外へ行ってしまっているという、何ともありがちな家族である。


きっといいようにこき使われているのだろう。


「り、凜ちゃん……えぇっと、雲水いなくなっちゃったけど、皆で掃除するから、協力してくれる……かな?」


「………(コクリ)」


よかった。素直な子でよかった。雲水の妹じゃ無ければもっとよかった。


「何やら騒がしいので外に来てみれば……会長は何処に行ったんですか。」


凍てつく会計は外の騒がしさに嫌気がさしたようで、暑いのを我慢して自ら戦地に赴いてくれた。

この子ロシア生まれだから、ホントに熱さに弱いんだなぁ……と思うくらい冷却パックを身体に纏わせていた。

もう、アレッサの周りだけ「涼しい!」を通り越した「寒い!」の空間である。


今までの事を説明すると「そんないつも通りのパターンじゃ驚きもしませんねぇ。というより九鬼先輩はどうしたんですか。」

と溜め息交じりに答えた。


「というより、もう理事長の話が始まっちゃいますから、さっさと中央ホールに行った方がいいと思うんですが。」


そのために出てきたんスか………


俺らの掃除……どうなるんだろう。

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