Work15 波乱の予感は外語の時間
会場は、ヤバいことになっていた。
雪夜が半端無い点数で生徒会の刺客を打ち負かしていた。
相手は生徒会書記、文武両道『山岡千里』だ。
彼も、かなりいい成績の持ち主のはずなのだが………まぁ仕方ない。
ただ、これでも先ほどの咲苗戦の点数を埋めることができていなかった。
まぁ、バカのせいなのだが。
ちなみに、向こうはあと副会長と会長だけだが、この二人もなかなか強い。
例えバカが女会長をボコボコにしても、副会長なら逃げ切ることも可能。
実際、凜ちゃんは語学の方は弱かったはず。
雪夜がやったのは国語。つまり凜ちゃんは外語をやらなくてはならない。
ちなみに先ほどの国語だけは別ルールで、日本語と漢文だけで行われていた。
という事は、外語では各国の言葉を読み取らなければならない。
一応被らないための仕様なのだが………
雪夜も「語学はできるが、ぶっちぎりはできない」と言っていたので、仕方ないのだが。
「………がんばる。」
「お、おう……」
大丈夫かな凜ちゃん。
もう大丈夫じゃないような気がする。
「えー、じゃあ始めるよ?」
よいしょという声と共にまたまたまたまたまた豪奢な鐘の音が鳴り響く。
「あーかわいいかわいい。」
「だから漏れてますって。」
いつの間にか戻ってきていたアレッサに鋭い突っ込みをいれられてしまう。
き、聞えるように言ったんだし!
「にしても、凜はやっぱり速いですね。苦手と言いつつ。」
やはり一応天才の妹。
苦手と言ってもペンが止まる気配は無い。
一方の生徒会副会長兼硬式テニス部部長『佐倉獨』も、ペンを止める気配がない。
シャカシャカシャカシャカ、ただペン先で紙を擦る音が聞こえる。声は無い。
何か事がうまく進み過ぎてる………波乱の予感…………