Work11 数学王はどちら?
数式を書き続ける、というのは非常につらい。
英語なんて慣れれば頭で全文訳せるからいちいち文章に役を書きとめなくなったりする。
まぁ、文系は慣れれば良いんだけど、理数系は違う。
簡単な計算ならいいが、複雑な計算式が絡んでくればもう頭で考えられるほどの余裕は無い。
会長を除いて。
「八柳先輩も白石先輩も、速いですねぇ。」
アレッサがポツリと呟く。
まぁ、こんなこと呟いてるアレッサも相当速いんだが。
「まぁ、このバトル、今は日本語だからいいけどよ。」
会長がやけに引っかかることを言った。
今は日本語だからいい?
え?つまりどういう事?
そんなことを考えていると、主水のペンが止まる。
同時に八柳もうーん……と、珍しく表情を変えていた。
「これ、一枚ごとに言語が変わるんだよ。」
何そのむちゃくちゃルール。そんなんじゃ有利不利が……!
しかしそう考える一方で「俺出なくてよかったー」とつい安堵の表情を浮かべてしまった。
「ちなみに日本語から順に英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、アイルランド語、ギリシャ語、スウェーデン語、ロシア語、タガログ語、スロバキア語、スワヒリ語、中国語、韓国語、マケドニア語、マレー語、ヒエログリフ、モールス符号だ。」
最後の二つ酷くね?
古代文字とか信号とか。
「一休も主水もペン置いちゃったぜ?」
と咲苗。
「しょうがねーだろ。アイツらは、日本語と少々の英語しか使えない愛国者だからよ。」
と雲水。
「あははははは、でも、これからの社会に対応するためには英語と中国語は覚えておいた方がいいと思う。」
と雪夜。
会長、言いすぎです。
僕も少々の英語しか使えません。
国内トップクラス校なのにホントスイマセン。
「まぁ、会長たる俺は何処の言語が来ても訳せるから問題ない。ヒエログリフなんて戯れよ。」
味方に会長が居てすごく嬉しいです。
ホントこの人超人だよなぁ。馬鹿なところ抜けば。
「15分です!両者、ペンを止めてください!」
ゴォオオオン……とまた豪奢な音を響かせる銅鑼。
あぁ、ホント生徒会長可愛いなぁ………
「得点は?」
我先にと会長が聞く。
生徒会長は数秒用紙と睨めっこする。
「えぇっと……用紙一枚につき100点満点ですから……八柳、白石、共に100です。」
おぉおお……!と一同拍手。
ちなみに日本語以外はすべて文章題で構成されていた。
これは流石に解けないか。
「ふぅ……まぁいい方か?」
お疲れモードの主水に対し、
「英語ぐらいやっとけやカス!」
と会長は厳しいバッシング。
向こうでは八柳も「すまない……」と謝っていた。
生徒会長は「大丈夫ですよ」とにっこり笑顔を浮かべていた。
「んで、次は俺らが科目決めていいんだよな。よし、お次はScience、理科で行こうぜ。アレッサ、行ってきてちょーだい!」
「了解です。」
アレッサ・ヴィクトール、2年生ではあるが、理科だけなら高校でも通用するくらいの成績を持っている。
まぁ、ベストチョイスであろう。
対する相手側は金髪のお嬢様役員『マリア・オズボワール』。彼女も理系ならずば抜けた才能を持っている。
さぁ、どちらが勝つのだろうか。非常にワクワクである。