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ノンデリだからって何も考えてないわけじゃないんだが

有栖川の自己紹介を終えて、続いて胡桃沢の自己紹介。

「じゃあ胡桃沢も簡単でいいから自己紹介してくれないか?」


先程の小っ恥ずかしいやり取りを仕切り直すように俺は言った。


「わかりましたじゃあ改めて。胡桃沢雛、大学4年生で今22歳です。因みに大学は青学です。」


「へぇ。お前青学生だったのか。頭良いしイケイケじゃないか」


「まあそういう子も多いですが私はそういう遊びあんまり好きじゃなくて。合コンとか誘われる事もありますけど大体断っちゃいますね」


「へぇー。でもあんまり断ってたら友達付き合い微妙にならない?胡桃沢男子に人気ありそうだし合コンとか重宝されるんじゃないか?」


何気なく言ってしまったが胡桃沢が、目を丸くしてこちらを覗き込む。


「えと、それって私可愛いって事ですか?」


「…うん、まあ、そこそこ可愛いほうじゃないか?」


「…そうですかね?えっと…ありがとうございます。可愛いですかね。」


ほんの少し顔を赤らめてもじもじしている。


おい!

変態〜警察に通報しますよ!とかでいいんだよ!


「い、いや、別に俺が可愛いと思ってるわけじゃなくてあくまで客観的に見たらの話だけどさ」


言い訳がましく早口で捲し立ててしまった。

こんにちは。最近すごい謎に気づいて2/14ってなんか女子がチョコを持って男子の周りでソワソワしてる事が多い気がする。隠しイベントが実行されてるかもしれない。今度アマゾンの奥地へ真実を探りに行こうと思うんだ。


「…有栖川さんさ、あんまりモテないでしょ?ノンデリポイント2点加算です。」


集めてもないポイントを貰ってしまった。

何ポイントで何に交換できるんですか?換金はできますか?救ってもらって良いですか?


無理やり話を戻す。


「ま、まあでも誘い断るのも大変じゃないか?角も立つしさ」


「あー。まあそうですけど、課題の締め切りとかバイトとかなるべく自然に断るようにしてますね」


「嘘ついて断るのかよ」


「連日誘われると、お母さんから届いたカニの消費期限が今日、たか家の電子レンジが今朝爆発して掃除しなければならないとか、いろいろ使いますね」


「俺も思いついたらアイデアあげるよ」


「それは助かります」

うふふと胡桃沢。


「胡桃沢って大学ではめんどくさがり屋なことは隠してるのか?」


「ごく一部の仲良い子を除いては基本隠してます。めんどくさがり屋な人間だってバレたらひいちゃう人もいますからね」


ほーん、最低限のそういう認識はあるらしい。


「でも俺と初めて喋った時すぐに教えてくれたな」


「そうでしたね。見栄を張る必要があるのって認められたかったり、良い印象を持って欲しい人に対してですよね?有栖川さんは最初は馬券の買い方を教えてくれそうな、どことなくクズ感ただのお兄さんだと思って話しかけましたから。面接落ちた帰りでぼーっとしてましたし、別に見栄を張る必要がないと思って素でいっちゃいました。」


なるほど、まあ確かに俺は見栄を張る相手ではないか。


「まあでも予想を超えるクズっぷりを披露してくれたので、自分の怠惰など比べたら何も恥じる事はないんだと自信が持てました。ありがとうございます」    


「感謝されるならこの人生で良かったよ」

そんなわけない。


「お前そんなだと授業とか行ってないんじゃないか?」


「いや、全部行ってますよ?」


え、意外な返答。これまでの感じから最低限行って家でぐうたらしているかと思った。


「意外だな。別に見栄を張らなくていいぞ?俺は予想を超えたクズなんだから。


「大学は親がせっかく出してくれたお金ですし、こうやって一人暮らしもさせてもらってますから。サボったりするのは親に対して申し訳ないです。フル単ですよ私。」


「悪い、そこまでちゃんとした人だと思わなかった」


「それ謝罪風に見えてもっと失礼ですからね。ノンデリポイント1点追加です。」


さっきより少ないな。当たり判定が浅いようだ。


「一応バイトもしてますよ?就活してるのでシフト減らしてますがパン屋で1年からやってます」


「偉いじゃないか。しかも、朝早いだろパン屋って」


「そうなんですよ!早すぎますよ!三茶駅で近いですけど朝6時出勤ですよ?起きられませんよ!」


「じゃあなんでパン屋なんか。辞めればいいだろ?」


「そうなんですけどねぇ…でもお金も少しは稼がなきゃだし。社員さんは入ってばかりなポンコツな私を並のアルバイターに成長させてくれましたし。恩もありますから結局やめなかったです。」


こいつめんどくさがり屋なのはさておきなかなか情には厚いようだ。さっきも困ってる人がいたら助けるとか言ってたし。


「バイトも単位も立派だとは思うんだけど、だとしたら就活は親の為に頑張ったりしなかったのか。良い大学でても就職できなかったら親孝行は達成したとは言い難いんじゃないか?」


「まあ私がいけないですね。やりたい事も全然無くて毎日平和にダラダラできたらそれで良くて。だから、これがしたいとかお金をいっぱい稼いで何かしたいとかないんです。」


そのまま黙って神妙に聞く。

長所:聞き上手ってプロフィールに書いてるやつハードルめちゃ上がってるよな。その場合は短所:表現下手だろう。


「両親に相談したら、全然気にしなくていいと。自分が心からやりたい事とか働きたい会社が見つかるまで気長に頑張りなさいと、言ってくれました。とはいえ、ずるずるいったらそのまま穀潰しになりそうでしたから。一応就活してました。でもウインズで話した通りです。そんな気概見透かされてるんでしょうね。なかなか面接通りません。」


こいつそこそこ高学歴だし顔も良いし雰囲気も柔らかいし、どこかは引っかかりそうだが…よほど面接でうまく喋れないだろうんな。


「就活で色々と苦労してきたのは分かったよ。目標も野望もはっきり持ってない事も」


「はい、そうですね」


「でもさ、怠惰な日々を手に入れるそれも立派な目標だ。両親がなんでも目標の為頑張れと言うなら、その為に頑張るのはありじゃないか?」


「怠惰な日々を手に入れるを目標に」


「両親は胡桃沢に、したい事を、なりたいものに、従いなさいって言ったんだろ?だから怠惰な日々を手に入れる、その目標で頑張ってみるのはどうだ?過程はどうあれ会社設立して結果的に稼げるようになってさ。あくまで副産物として怠惰な日々なら両親も安心するだろ」


「…確かにそうかもしれませんね。目標は怠惰な日々を手に入れる。その為に私は頑張る」


「じゃあそういう事で会社設立に向けて頑張ると言うことで。」

俺は飲みかけのビールをぐびっと飲んだ。


「有栖川さんって彼女いますか?」


ビールを吹き出しそうになった。

なぜ急にそんな事聞く?


「なぜ急にそんな事聞く?」

そのまま聞いてしまった。


「いや、冷静に彼女いたら、女子大生とこうやって暫く2人で会う事が増えるのまずいんじゃないかなって。」


なるほど、気遣いでしたか。


「青学ってのもしかして賢くないのかな?」


ん?と言う表情。


「27歳の無職借金持ちに彼女なんているわけないだろ」

ドヤ顔で答えてやった。

因みにその前もいなかったがそれは伏せておく。


「なんでそんな堂々というんですか。ドヤ顔の発動条件設定どうなってるんですか?」


「じゃあ俺も聞くけど…お前は彼氏いるのか?」


「有栖川さんってバカですか?」

お返しされてしまった。


「こんなめんどくさがり屋の女の子に彼氏なんかいるわけないじゃないですか?」

ドヤ顔でへへんという表情の胡桃沢。


「うん。まあその通りだな」


「ちょ、ちょっとすんなり受け入れないでくださいよ!

もう、ノンデリポイント3点です!」


え、流石にハメ技すぎるだろ。同調しただけなのに。

回避不可すぎ。


「それで、6点溜まったが俺はどうなるんだ?」


考える胡桃沢。


「じゃあ1ポイントにつき1回私のお願いを聞いてもらうと言う事で」


「重すぎるだろ、ドラゴンボールでも7個で1回だぞ」

シェンロン様はコスパが悪いでやんすね。


気にせず続ける胡桃沢。


「じゃあ1ポイント使います。お願いは質問に答えてください。有栖川さん私合コンとか誘われやすくて男子に人気ありそうみたいなんだけど何でだと思いますか?」


根に持ってやがった。

さっきは照れて、きょどってしまったからな。

今度こそ童貞感を塩素除去したクリーンな褒めをしてやろう。


「そりゃあ胡桃沢は可愛いからな」

さらっと大人の余裕を醸し出して。


「…」

沈黙、無表情。


「…」

…何も言わない胡桃沢


「…」

なんだよ、なんか言ってくれ。


「いや、可愛いって別に客観的にみての話だからな。別に俺自身は何も思ってないから勘違いすんなよ」早口で弁解、唇が勝手に動く。


はぁ…と呆れたように苦笑する胡桃沢。


「有栖川さんって、借金無くても彼女いなそうですね」


う、うるせー!といいたいとこだがますます童貞感が滲み出るので回避。


「あともう1ポイント使いますね」


「おうなんだ?」


「あの…一個だけお願いですけど、今みたいな…早口でまくし立てるのちょっと気持ち悪いので、やめてもらえると嬉しいです」


ガ・チ・指摘


胡桃沢と話していて色々からかわれたり、チクチク言葉を言われたりはしたが、この丁寧なきちんとしたお願いが1番胸に刺さった。大事な1ポイントを捨ててまで直して欲しいなんて…


「分かった。すまん。気をつける」


もし俺が逆に胡桃沢からポイントを奪えたら、指摘はなるべく俺が傷つかないように伝えてくれってお願いしよう。ダサい大人である。


「ごめんなさい有栖川さん。今後何か直して欲しい事があったら、なるべく傷つかないように伝えますからね。あ、あまり落ち込まないでくださいね!」


ポイントなんか必要なく、傷つかないようにしてくれるらしい。胡桃沢は、俺が思ったよりもずっと優しいやつなのかもしれない。ああ…でも【俺が思ったより】の部分は、もし直接伝える時には省いた方がきっといいんだろうな。

気づけて偉いぞ俺。だって、これ以上ポイントが増えたら、何されるかわからないからな。


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