救世主の登場なんて考えた事もなかったんたが
借金男、有栖川の助言により競馬で1000万的中させた強運女子大生胡桃沢。有栖川借金を肩代わりする代わりに自身と共に会社を立ち上げて働く条件を提示。今後の話し合い野多目とりあえず胡桃沢の自宅に上がることに…
俺は胡桃沢の言いつけ通り、会議のお供の為のお菓子とお酒を買いに目の前のスーパーへ向かった。
赤い看板が目印の24時間の大型スーパーである。
入店直後、冷房がガンガン効いており生き返る気持ちだ。ざっと見た感じ安くて品揃えも良さそうだ。
目の前にこんなスーパーがあるのは羨ましい。
さっさと用を終えようとお菓子コーナーを探していたら、途中に惣菜コーナーを発見した。
ああ、そういえば腹が減った。
現在時刻は14時。結局朝飯も食べずにウインズへ向かった為、お腹は相当空いている。
胡桃沢のお願いはお菓子と酒であったが弁当は買ったらまずいか?あくまで頼まれてるのは会議中のおやつであって飯を買うのは違うか。
ただ、金もないので、ここで飯まで賄えるのは大きい。
いくら300万貸してもらえるとはいえできる節約はしたい。
のり弁はせんべいの延長線にいないか?米を焼いたものに海苔巻いてるわけだし…おやつでは…?等色々考えた結果流石にのり弁は無理だと判定し、サンドイッチはギリギリおやつという理論で購入決定。
外国人はおやつにママが作ったサンドイッチを食べるだろ。俺の想像だが。
サンドイッチを適当にカゴに入れ、本丸のお菓子と酒を買いに行く。好みを聞いておけばよかった。
お菓子と酒は結構好みが出るからな。生憎、まだ楜沢の連絡先を知らないため、無難な選択に狙いを定める。
酒はビール6缶、お菓子はたけのこの里、カントリーマアム、ポテトチップス、じゃがりこをチョイス。攻守共に優れた安定感のあるチームだ。
店を出て、てくてくとマンションに戻る。それにしても暑いな。わずかなマンションまでの道のりでも汗が出てくる。マンションに着いて、改めて胡桃沢の部屋である202号室のオートロックを鳴らす。程なくして
「はい!どなたですか?」
「俺だ。有栖川だ。買い出し終わったんだがもう入ってもいいか?」
「そこそこ片付いたので大丈夫です!どうぞ」
オートロック解除され、扉が開いた。
エレベーターもあるが2階なら階段で良いか。汗が出ぬよう、せっせと階段を上がり202の玄関のインターホンを鳴らす。
ガチャ…と扉が開き、胡桃沢が出てくる。
「お待たせしました!上がって下さい〜」
胡桃沢の格好にびびりながらも、表情に出ないように訊ねる。
「お、おう…お前その格好…」
「え…なんですか?」
自分の服を確かめるようにジロジロ見る胡桃沢。
胡桃沢はかなりゆったりとした光沢のあるパジャマに着替えていた。
「いや別にいいんだが…なんというか流石に初対面の男を家にあげる格好にしては少し緩すぎないか…?
うーんという表情の胡桃沢
「だってこの後外出の予定もないですし、スーツで疲れちゃって。もしかして暑いし下着とか期待してましたか?ごめんなさい。ご希望に添えず」
「し、しとらんわっ」
めちゃめちゃ童貞のような返答をしてしまった。
胸元もゆったりしてて目のやり場に困るこいつ意外とあるな…。すると、胡桃沢は少し笑って言う。
「こんな人生逆転できるチャンス掴んだのに、むざむざ襲って不意にするなんて事しないでしょ?じゃあ入って下さい。外暑いので」
変に着替えろと言うのもそれまたなんか意識しているようで気持ち悪いなと思い観念して、そのまま上がる事にした。
「お邪魔します」
なかなか広々とした部屋であるが…
思わず口にしてしまった。
「部屋汚いなそこそこ片付いたのかこれで」
ノンデリ発動。普段人と喋ってないからブレーキが機能してない。
「ごめんなさい。今サッと片付けたんですけど
これが限界でした。」
汚いと言ったもののゴミなどで不衛生というよりは着た服や化粧品、漫画などが取り留めもなく散乱している。片付けるのが下手なのだろう。
「いつもこんなんなのか?」
「さっき言いましたよね。私めんどくさがり屋だって。あ、あんまジロジロ見るのは流石にちょっとです。」
断固ジロジロは見てない。
「にしても…気になるな。このままだと座る場所も危ういし、俺簡単に片付けてもいいか?」
「ええ…流石に初対面の男の人に片付けてもらうのはちょっと…」
と言いながらも悩んだ表情を浮かべる。
まあ流石に知らない男に物触られるのは嫌だわな。やばい急に自分が変態に思えてきた。
その間胡桃沢はうーんうーんと考えていたようが
「まぁでも、集中できないんじゃ仕方ないですねぇ…片付けお願いできますか?」
かこつけて結局頼んできた。
どうやら初対面の男に頼む抵抗感VSめんどくささで、めんどくささが勝ったらしい。
結構な大金星だろこれ。
「服とか本とか各ジャンルでまとめてもらえれば収納場所とかは教えますので!」
吹っ切れて元気になっとる。
「おう、さっさとやっちまおう」
「よろしくです。」
どこから手をつけようかな…大体30分くらいとみた。段取りを考える最中、胡桃沢はリビングにあるソファでゆったりしはじめた
突然上目遣いでこっちを見つめてくる。
「なんだ…どうした?」
色白な肌が随所から見え隠れするパジャマ姿で
じっと見つめてくる。あれ…なんかこの感じ危ないのでは…?
「あ、あの…先にビール飲んでていいですか…?」
あぶなあい?てっきりエッな展開かと思ったぜ。
これだから経験のない童貞は困る。俺です。
「お、おう。そこでゆっくりしてろ」
これが、大人の余裕。
「ありがとうございますっ有栖川さんいい人!」
うきうきでビニール袋からビールを取り出して缶を開ける。テンションが爆上がりしている。
またじとっとした目でこっちを見ている。
「…有栖川さんも先に乾杯だけしましょ?」
「ああ、そうだな」
俺の分のビールの缶も空けてくれた。
「じゃあ1000万的中記念&会社発足の記念として…かんぱーい!」
「おう、乾杯」
コツンと缶をぶつけると、ちょびっと口をつける。夏のビールはうめえ…と思っていると
なんとそのまま胡桃沢は一気飲みしてしまった。
「あはは、夏のビールって本当に美味しいです!」
片付けをしながら、目の前で空き缶のゴミを増やされた。こいつ…
この後話し合いなんてできそうにないな。
そう思いながらも、笑顔の胡桃沢を見ていたら
不思議と悪い気はしなかった。




